中学までの国語長文は何とか読めてきても、高校の国語(「現代の国語」「論理国語」など)で扱う評論文になると、
急に難しく感じる高校生は多いです。
呉市内の高校でも同じで、呉三津田高校にお通いの生徒さんからも
「現代文が難しくてどうしようもない」と言われることがあります。
そして高校現代文の頻出作家の中でも、難易度が高い文章を書かれる著者の一人が 鷲田清一 氏です。
一方で、一般の読者レビューでは高評価も多く、「わかりやすい」という感想すらあります。
そこでこの記事では、鷲田清一氏の文章を読むときのポイントを高校現代文向けにまとめます。
1. なぜ鷲田清一の文章は「難しい」と感じやすいのか
いま読み返すと「なるほど」と思わされることも多い鷲田清一氏ですが、
高校現代文に取り組み始めたばかりの高校生にとっては、かなり手ごわいのが正直なところです。
難しく感じる主な要因
- 前提となる背景知識(社会常識)が必要
- 鍵かっこ付きの言葉に、辞書と違う意味/複数の意味が込められる
- 一文が長く、文の骨格が見えなくなる
- 社会現象・社会問題を比喩で表す技法が多い
- 哲学エッセイ的な抽象語が多く、日常感覚だけでは掴みにくい
2. 対応策は?(まず結論:型+知識+粘り)
国語に特効薬はない、というのは(ある意味で)その通りです。
ただし、鷲田清一氏の文章に「打つ手なし」と決めつけるのは、少しもったいないと思います。
基本方針
- 知らない前提は、辞書や用語集(必要なら検索や生成AI)で埋める
- 長文・難文は、文の骨格(主語・目的語・述語)から取る
- 独特の言い回しは、本文の論理関係(言い換え/対比/因果)で具体化する
補足:鍵かっこ付きの言葉は「二重の意味」があることが多い
鷲田氏の文章では、鍵かっこ付きの言葉がしばしば登場します。ここには大別して2つの可能性があります。
- ① 辞書的意味とは違う意味が「あえて」付与されている
- ② 二重・三重…と複数の意味が重ねられている
まずは「辞書的意味」からスタート
いきなり高等な解釈に飛ばず、まず辞書の意味を「軸」にして読み始めます。
読んでいく途中で「明らかに辞書の意味と違うぞ」と気づけたら、その差分を具体化していく。
この“差に気づく”作業が、現代文の力を伸ばす近道だと思っています。
3. 鷲田清一の文章を読むときの3つのポイント(高校現代文向け)
ポイント1:長い一文を分解して、骨格から読む
文意がとりづらい理由として多いのが、一文が長いことです。
長い一文に出会ったら、分解して修飾・被修飾(どこがどこにかかるか)を押さえます。
コツ:骨格→飾り の順で読む
- 主語・目的語・述語=文の骨格
- それ以外は飾り(条件・例・補足・比喩など)
- 骨格をつかんだ後、飾りを足していく
具体例(超シンプル化)
AがBになったのは、Cばかりではない。Dにもよっている。
連続した内容なので、2文目の主語は(省略されていても)1文目と同じです。
この形は結局、「CよりDが重要」と言っています。
日本語は、英語とは逆に大事なことを後ろに置きやすいので、最後の一言を特に丁寧に拾うのがコツです。
ポイント2:筆者独特の表現は「本文の論理」で具体化する
辞書だけでは意味がつかめない表現が出たら、本文の中にヒントがあります。
具体的には、次の関係を探します。
- 同等関係(言い換え・並列・具体化/抽象化):「つまり」「たとえば」
- 対比関係:「しかし」「一方で」「対して」
- 因果関係:「だから」「なぜなら」
※さらに「文の中の関係」=主語・目的語・述語と修飾語の区別も重要です(難文ほど効きます)。
具体例:重要キーワード「媒介」
評論で「媒介」が出たら、「A(メディアなど)がBを橋渡しする」と捉えます。
例:新聞・テレビなどマスメディアは、社会に起こる様々な事象を視聴者に媒介する。
→ ニュースや番組として構築し、視聴者に伝わる形にして届ける。
ポイント3:わからない箇所を限定して、質問や復習の精度を上げる
「全体がわからない」よりも、
「〇〇の□□について、自分では△△と考えたが不明」と言える方が、解決が早いです。
現代文で一番大事な姿勢
- 「不明な点」と「はっきりしている点」を分ける
- 不明点は、文・段落・接続語レベルまで小さくする
- 小さくできたら、質問も自学も一気に進む
4. 補足:同じ筆者の文章を読む(余裕がある人向け)
鷲田清一氏の文章を他にも読んでみるのは有効です。
理由は、筆者の言葉遣い・論理の癖(ロジックのクセ)が掴めるからです。
5. 補足:国語辞典と現代文読解
現代文でも国語辞典は有効ですが、辞書の意味と本文での意味が一致しないこともあります。
だからこそ私は、現代文では「辞書の意味」と「本文での意味」を区別してノートにまとめることを勧めています。
6. 補足:具体化と抽象化
「具体的に考える」は学問の基本です。鷲田氏の文章も、実は「例えば」がたくさん埋まっています。
それらを具体的にイメージできるほど、読みやすさは上がります。
7. 補足:現代文用語(用語集の効用)
単語の背景まで説明してくれる(優良な)現代文用語集は、国語辞典より役立つことがあります。
とくに背景知識が必要な評論では、用語集を横に置くと効率が上がります。
8. 鷲田氏の文章を読む意義(なぜ挑戦するのか)
国語の力、とりわけ現代文の力は簡単には付きません。ですが、それは現代文の力が知的体力だから当然です。
「すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる」ことも多いので、
現代文ではむしろ「粘り強く考える」方向の努力が、後で大きく報われます。
9. 追記:どうしても現代文が苦手な人は?(レベルを下げるのも戦略)
自分の力を大きく上回る文章に挑戦しても得るものは少ないです。
だから、理解できる見込みが薄い場合は、素直にレベルを下げるのがおすすめです。
目安(戻り方)
- 大学入試レベルが厳しい → 高校定期試験レベルへ
- 高校定期試験レベルが厳しい → 高校入試レベルへ
- 高校入試レベルが厳しい → 中学定期試験レベルへ
※中学受験は別カテゴリーなのでここでは除外。
10. より具体的な取り組み方(伸びやすい練習)
実際に役立った方法としておすすめなのが、傍線部を引いて自分で設問を作り、自問自答することです。
例
- 「〜とあるが、どういうことか説明せよ」
- 「〜とあるが、なぜか説明せよ」
傍線を引くときは、むやみに引かず、設問のカバー範囲が他と被らないようにします。
それで文章全体をうまくカバーできるようになったら、かなり強いです。
総括:鷲田清一氏の文章への挑戦
鷲田清一氏はたしかに手ごわいですが、教科書や模試でも頻出であり、対策する意味は大きいです。
読めない/読みにくいと感じたら、まずは「骨格→論理→限定」の順で、型を固定して取り組んでみてください。