「塾や家庭教師の時間に、学校の課題(宿題)をやらせてもいいのでしょうか?」
これは保護者の方からも、生徒さん本人からも、よく出る質問です。
結論から言うと、私はこれを「〇か×」で決める話だとは思っていません。
宿題を授業中にやるのは、場合によってはかなり有効です。一方で、やり方を間違えると“授業時間が消える”ことにもなります。
だから大事なのは、宿題をやるかどうかではなく、
「宿題をどう扱えば、その子の成績や力につながるか」を設計することです。
まず押さえたい前提:宿題には2種類ある
学校の課題(宿題)には、大きく分けて2つの目的があります。
- 提出のための課題(締め切りを守る/学習習慣を作る)
- 力を伸ばすための課題(理解を深める/得点力を上げる)
この2つが混ざったまま「全部を完璧に」とやると、時間がいくらあっても足りなくなりがちです。
特に、呉市の中学校では中3になると課題量が一気に増えます。よくあるのが新学社の「新研究」で、一般に5教科分配られ、夏休み・冬休みなどに大量に出されることが多い。人によっては、量が過剰になっていると感じます。
ここで大切なのは、「本人のやる気がないから終わらない」と決めつけないことです。
単純に、物理的に量が多すぎる/難しすぎるケースが、現場では普通にあります。
※呉市で家庭教師をお探しの方は、対応範囲の目安もご確認ください:
対応エリア
判断基準は3つ:タイプ・学力・目的
塾や家庭教師の時間に宿題を入れるかどうかは、私は次の3つで判断しています。
- A)生徒のタイプ:強制されるとやる/放っておくとやらない/自走できる
- B)学力:宿題が自力で回る難易度か(平均点前後か、もっと下か、上か)
- C)目的:定期テストか、入試か、検定か(英検など)
この3つが分かると、「授業中に宿題をやる意味」が見えてきます。
逆に言うと、この3つが曖昧なまま宿題を“とりあえず全部”やると、授業が作業時間になりやすいです。
ケース①:強制されるとやるタイプ(最低限は回る)
このタイプは、締め切りがあれば宿題自体は一応やります(精度は別として)。
なので授業時間は、“本人が自主的にはやりにくい勉強”に使うほうが伸びやすいことが多いです。
授業で優先しやすいもの(例)
- 英検の学習(語彙/長文/英作文など)
- 市販の参考書・問題集での弱点補強
- 国語の記述、英作文、数学の途中式など「雑になりやすい部分」の矯正
一方で、学校課題を授業中にやるとしても、全部をだらだらやるのではなく、
「ここだけは丁寧にやろう」という範囲を絞るのがコツです。
“宿題を素材にして丁寧にやる”例
- 英語:本文の日本語訳ではなく、文構造(SVOC)や根拠の取り方に絞る
- 数学:解答を埋めるより、途中式の型・考え方の整理に絞る
- 国語:記述の根拠探しと、答案の整え方に絞る
宿題を“授業の中心”に据えるのではなく、宿題を使って「雑になりそうなところだけ丁寧にする」。
この形だと、授業の価値が保てます。
ケース②:学力的に、学校課題をすべて自力で回せない(平均点以下など)
このケースが、一番むずかしいです。
なぜなら「全部を全力でやる」戦略が、ほぼ破綻するからです。時間が足りません。
原則(私の考え)
- 全部を全力でやらない(現実的に終わらない)
- 教師が“今のレベルで意味がある問題”を選別し、そこだけ丁寧にやる
- どう考えても無理な問題は、無理だと認める(ただの写しは力になりにくい)
たとえば、新研究のように量が多い問題集では、
「全部のページを埋める」よりも、「得点につながる基礎問題を確実にする」ほうが、結果的に点が上がりやすいです。
ただし、学校提出の事情もあるので、現実には「提出のために埋める」場面もあります。
その場合でも、私は“丸写し”を正解にしないために、最低限のルールを置くことが多いです。
写すなら最低限ここだけはやる(例)
- 解説の太字(ポイント)を読んで、口頭で説明できるようにする
- 同じ類題を1問だけ自力で解いてみる
- 間違えた理由を一言メモする(計算ミス/読み違い/意味不明 など)
また「追加で問題集を買うかどうか」は、状況次第です。
空き時間が少ない/自主学習ができないタイプなら、教材を増やしても回りません。
一方で、学校課題が難しすぎて成功体験がゼロになっている場合は、レベルに合った教材を1冊入れた方が伸びることがあります。
料金や指導形態については、こちらにまとめています:
料金・お支払い
進学校の課題が多い場合:自主教材の時間が消える問題
呉三津田高校のような進学校では、コースやクラスにもよりますが課題がかなり多い、とよく聞きます。
すると起きるのが、「学校課題を回すだけで手一杯で、自分の弱点補強や検定対策の時間がなくなる」問題です。
この場合も、授業の時間を全部“課題処理”にすると、長期的には不利になりやすい。
だから私は、進学校の生徒さんほど、
- 学校課題は“完成度を上げるポイント”だけを扱う
- それ以外の時間は、本人の穴(苦手単元/英語運用/記述)を埋める
という形を取ることが多いです。
「課題を全部完璧に」より、“学力が回収できる形でやる”ほうが成績に効きます。
進学校ほど課題が多いと「写し」が増える。これは“怠け”というより構造の問題
進学校では、学校課題の量が多いことが珍しくありません。結果として(一部のトップ層を除くと)
「全部を自力で解き切るのは物理的に無理」で、解答を写して提出を成立させる行動が起きやすいようです。
私はこれを、単純に「意識が低い」「ズルい」で片付けるのは違うと思っています。
写しが増えるときは、だいたい次のどれかが起きています。
- 量が過剰で、解く時間が足りない
- 難易度が高く、詰まって止まる問題が多い
- 提出物の目的が「学力」より「処理」に寄っている
ただし、ここで大事なのは、写すこと自体を責めるかどうかではなく、
「写しが常態化すると、定期テストや模試で点が伸びなくなる」という現実です。提出は間に合っても、学力の回収ができないからです。
だから私の考えはこうです。 “提出”と“学力”を混ぜない。分けて設計する。
(進学校の課題が多いときの)現実的なルール
ルール1:まず仕分ける(時間 × 難易度)
課題は最初に、
・時間が足りなくてできない
・今の学力だと難しすぎてできない
を分けて考えます。
自分でやるのが理想でも、難しいなら塾・家庭教師に任せる意味はあります(その代わり“学力が残る形”にして回収します)。
ルール2:時間不足の課題は、先にスケジュール再設計
「時間がない」なら、まず勉強時間の配分を組みなおします。
それでも物理的に回らない場合は、課題を次の3つに分けるのが現実的です。
- A)自力でやる(学力に直結。ここは守る)
- B)後で復習したい(印をつける。回収対象)
- C)当面は提出優先(写す等で成立させる。復習予定なし)
ポイントは、Bを必ず作ること。
“写して終わり”にせず、「回収する問題」を明確に残しておきます。
※Cはあくまで「提出のための作業」に限り、Cが増え続けるなら戦略の組み直し(または負荷の相談)が必要です。
ルール3:難しすぎる課題は、無理に完走しない
難易度が合わない課題を無理に完走しようとすると、時間だけが溶けます。
この場合は、塾・家庭教師側で「今の学力で伸びるところ」を選別し、そこだけ丁寧にやるほうが点数につながります。
ルール4:類題演習は“自力で探せるか”が分かれ目
- ①自力で類題を探して解けるならOK
- ②それが難しいなら、家庭教師や塾に頼るのも一考(良問選びも実力)
- ③類題ができない理由が「時間不足」だけなら、スケジュールの再構築が優先(自分でも、第三者に頼ってもよい)
こうすると、「提出は回す。でも学力は落とさない」形になります。
逆に言うと、提出のために写して終わり、を続けると、どこかで必ず苦しくなります。
作文・応募系の課題と生成AI:否定でも丸投げでもなく「使い方」の問題
最近は、科目に直接関係ない課題(作文、感想文、コンクール応募など)も増えています。
そして現実として、生成AIで何とかしている人が多い、という話も耳にします。
私は、生成AIを「丸投げして終わり」にするのも、「全部ダメ」と全否定するのも、どちらも極端だと思っています。
それよりも、生成AIを“自分のアイディアを形にするツール”として使うのが、一番効果的ではないでしょうか。
おすすめの使い方(例)
- 自分の言いたいこと(体験・主張)を箇条書きにする
- AIに「構成案」を出させる
- 違和感がある部分をAIとやりとりして修正する
- 最後は自分の言葉に直して清書する(ここが一番大事)
「AIに書かせて提出」ではなく、
「AIとやりとりして、自分の考えを整えてから清書」。
この線引きが、今後のためにも現実的だと思います。
まとめ:宿題を授業中にやるのは“条件つきでアリ”
塾や家庭教師の時間に宿題を入れるかどうかは、私はこう考えています。
- 自走できる/強制で動くタイプ → 授業は“自主的にやりにくい学習”を優先。宿題は絞って丁寧に。
- 学力的に宿題が重すぎるタイプ → 全部はやらない。教師が選別して、得点に直結する部分を丁寧に。
- 進学校で課題が多いタイプ → 課題処理だけにせず、弱点補強や検定対策の時間を守る。
- 作文などはAIも活用可 → ただし丸投げではなく、対話して形にし、最後は自分の言葉で清書。
宿題をやること自体が目的ではなく、
その子の時間と力を「どこに配分すれば伸びるか」を一緒に設計する。
私はそこを大切にしています。
ミニQ&A
Q1. 授業中に宿題をやると、「授業料がもったいない」気がします。
気持ちはすごく分かります。だから私は“宿題をただ処理する時間”にはしません。宿題を使うとしても、雑になりやすい部分(英作文・記述・途中式など)だけを丁寧にやったり、理解の穴を埋めるために問題を選別したりします。授業は「伸びるところに時間を投下する」ための時間です。
Q2. 宿題が多すぎて、どうしても解答を写すことがあります。やめさせるべきですか?
「写す/写さない」の道徳論にすると、現場は動きません。大事なのは、写しが常態化して“学力が回収できない状態”になることです。提出の都合で解答参照が避けられないなら、A(自力でやる)B(後で復習する)C(提出優先)に分け、Bを必ず作って回収するのが現実的です。
Q3. 進学校の課題が多すぎて、自主教材(英検・参考書)をやる時間がありません。どうしたらいいですか?
「課題を全部完璧に」を続けるほど、自分の弱点補強が後回しになりやすいです。課題は“完成度を上げるポイント”に絞り、授業時間は弱点補強や検定対策に回すほうが、長期的には得点が安定します。必要なら、学習スケジュール自体を組み直します。
Q4. 「B:後で復習したい問題」に印をつけても、結局復習できない気がします。
それは自然なことです。だからBは「次の授業で回収する」前提で作るのがおすすめです。復習の意志に任せるより、授業や小テストで回収する仕組みにすると、現実的に回ります。
Q5. 類題演習が大事なのは分かるけど、類題を自分で探せません。
類題を探す力も実力の一部ですが、最初から完璧である必要はありません。自力で探せない場合は、塾や家庭教師側で「今のあなたに必要な類題」を用意して回すのも十分に意味があります。もし原因が“時間不足”なら、まずスケジュール再設計が優先です。
Q6. 作文や応募系課題で生成AIを使うのはアリですか?
私は「丸投げで提出」はおすすめしませんが、「AIとやりとりして自分の考えを整え、最後は自分の言葉で清書する」なら有効だと思います。体験や主張を箇条書き→AIに構成案→やりとりで修正→自分の言葉に直して清書、という手順にすると、思考の整理にも文章力にもつながります。
Q7. 「新研究(5教科)」が終わりません。全部やらないとダメですか?
量が多いときほど、「全部を完璧に」より「点につながるところを確実に」が大事です。基礎の正答率を上げる範囲に絞ったり、提出のための作業と学力を上げる学習を分けたりして、現実的に回る設計にします。