国語は「センス」「運」と言われがちです。けれど実際には、やり方を固定すると点が安定します。
この記事では、国語を“その場のひらめき”ではなく、毎回再現できる手順として練習する方法をまとめます。

はじめに:よくある誤解と原因

国語の勉強について、よくある誤解があります。

  • 「国語はセンス(才能)だから、伸びにくい」
  • 「解説を読んでも、“そういうもの”としか思えない」
  • 「模範解答が、うまいこと言ってるだけに見える」

こう感じるのは、本人の努力不足ではありません。むしろ真面目な人ほど、ここで苦しくなります。
誤解が生まれる原因ははっきりしていて、国語を“再現できる形”で練習できていないことが多いです。

数学なら「この公式で解く」、英語なら「SVOCを取る」と言えますが、
国語は「なんとなく読んで、なんとなく答える」になりやすい。
その結果、たまたま当たったときは嬉しいのに、次に同じことができる気がしない。
つまり、再現性が育たない状態になります。

再現性の重要性:勉強法はシンプルイズベスト

再現性とは、簡単に言えば「同じ条件なら、同じように結果が出る」ことです。
本番は緊張も体調もあるので、100%同じ結果は難しいです。
それでも、自分の中の手順が固まっている人はブレが小さくなります

国語の勉強法は、複雑にすると安心感が出ます。「いろいろやっている感」も出ます。
でも複雑なやり方は、緊張した本番で思い出せず、迷子になりやすい。
だから国語ほど、シンプルイズベストが効きます。
やることを減らし、同じ動きを何度もできるようにする。これが国語の安定につながります。

わかりづらい勉強法の例

① 例外が多い

「心情はこう読む」「指示語はこう」「対比に注目」「具体⇄抽象」「接続語が出たら…」など、
“技”をたくさん覚えるほど、例外が増えていきます。

  • 対比っぽいけど対比じゃない
  • 接続語がないのに話が転ぶ
  • 心情が一言で言い切れない
  • 抽象っぽいのに具体例が続く

こうなると「結局どれを使えばいいの?」になり、手順が固定されません。
つまり、再現性が育ちにくい形になってしまいます。

② 点と点の繋がりが見えない

解説を読んで「なるほど」と思っても、次の文章になるとまた解けない。
これは、解説が“その場限りの正解”に見えてしまっている状態です。
点(その問題の答え)は分かっても、線(次に使える形)になっていません。

国語で大事なのは、点を線にすることです。
そのために、国語を「科学実験みたいに扱う」やり方が役立ちます。

再現性を持って国語に取り組む方法

国語を再現性のある形にするコツは、国語を科学実験みたいに扱うことです。
流れはいつも同じで、仮説 → 実験 → 考察 → 知見を毎回回します。

仮説:①解答の材料(本文から)②解答の骨組み

国語の答えは、ざっくり次の2つでできています。

  • 材料:本文のどこを根拠にするか(書き抜きの候補)
  • 骨組み:それをどう並べて、答えの形にするか(組み合わせの型)

ここを先に決めると、国語は「雰囲気」から「作業」に近づきます。
逆にここが曖昧だと、答案は“その場の思いつき”になりやすく、再現しづらくなります。

補足:骨組みは「矢印→接続→代入」で作る

ここまで「材料(本文からの抜き出し)」と「骨組み(並べ方)」と言ってきましたが、
骨組みは“センス”ではなく、抜き出し箇所同士の論理関係を見える化すると作りやすくなります。

① 抜き出し箇所同士の論理関係を、矢印で示す

まずは、本文から拾った抜き出し(材料)同士が、どういう関係にあるかを決めます。
たとえば、代表的には次のような関係です。

  • 同格:A=B(言い換え・説明)
  • 対立:A ⇄ B(しかし/一方で)
  • 因果:A → B(だから/そのため)
  • 具体⇄抽象:A(抽象)→ 具体例B(たとえば)
  • 条件:A → B(もしAならB)

ミニ例(イメージ):

抜き出しA「根拠となる一文を示せない」

抜き出しB「判断を振り返らない」

抜き出しC「読みが偶然に左右される」

A + B (原因) → C (結果)

② 接続表現(助詞など)を先に決めて「代入」できる形にする

次に、矢印で作った関係に合わせて、接続表現(助詞・接続語)を先に用意します。
ここまでできると、あとは抜き出し箇所を「代入するだけ」になります。
つまり、答案作りの負荷が一気に下がり、再現性が上がります。

テンプレ(因果型の例):

〔原因〕(A)ため/ので、〔結果〕(C)
さらに(B)こともあり、いっそう(C)

※A・B・Cには、本文の抜き出しを短く整えたものを入れます(語尾を整える程度の“α”で十分)。

この「矢印(論理関係)→ 接続(助詞など)→ 代入(抜き出し)」の順にしておくと、
国語の記述が“その場のひらめき”から再現できる作業になります。

実験:答案を書き、解答例と比較する

実験はシンプルです。まず自分で答案を書きます。そのあと模範解答と比べます。
比べる観点も2つだけに固定します。

  • 材料が同じか(本文のどこを拾っているか)
  • 骨組みが同じか(どう並べて説明しているか)

考察:解答例の①材料②骨組みはなぜか?

模範解答を「上手い文章」として眺めるのではなく、
「本文と設問から、そう作らざるを得ない形」として見ます。
「なぜこの一文を使う?」「なぜこの順番?」を言葉にすると、次にも生きます。

知見:次の読解・記述に生かせそうなことは何か?

最後に短いメモを残します。長文でなくて大丈夫です。
大事なのは「次回も同じ動きができる」状態を作ることです。

実践:架空本文で「仮説→実験→考察→知見」

ここからは、架空の本文を使って実際にやってみます。
今回のポイントは、解答が「書き抜き+組み合わせ+α」で作れるように設計している点です。
国語は、こういう練習の積み重ねで安定していきます。

架空の本文

私たちは「読む力は国語の時間にだけ必要だ」と思い込みがちだ。けれど実際には、説明書を読み違えれば道具は壊れ、
予定の文面を誤解すれば約束はすれ違う。読む力は、生活のあちこちに顔を出す。

たとえば「このボタンを押してから設定を保存する」と書かれているのに、順番を逆にしてしまう。
あるいは「明日は午後から」と書かれているのに、「午前から」と思い込んでしまう。
こうした失敗は、知識が足りないからというより、文章から根拠を取り出す動きが弱いときに起こりやすい。

では、読む力はどうすれば伸びるのか。私は「たくさん読めば自然に伸びる」とは考えない。
大量に読んでも、どこを根拠に判断したかを振り返らなければ、読みは偶然に左右されるからだ。
読書量は大切だが、読み方の手順が固定されていないと、力は安定しにくい。

国語で点が取れない人の多くは、文章の内容が分からないのではなく、答えを作るときに
「どこを根拠にそう判断したのか」を自分で説明できない。
「筆者は結局こう言いたいのだろう」と思っても、その判断の支えとなる一文を示せないのである。

さらに困るのは、読み終わった後に「自分はどの一文を根拠に、どんな順番で考えたか」を振り返らないことだ。
振り返らなければ、たまたま当たったのか、手順が正しかったのかが分からない。
すると次の文章で同じ読み方ができず、点数が上下する。

逆に言えば、読む力を安定させる方法もはっきりしている。
まず本文の一文を根拠として示せるかどうかを確かめること。
次に、その根拠を設問に合う順番で並べ、説明の形にすることだ。

読む力とは、難しい技をたくさん覚えることではない。
根拠を示し、組み立て、振り返るという同じ動きを、毎回できるようにすることだ。
そうなったとき、国語は「センス科目」ではなく、再現できる科目になる。

設問

問:筆者が述べる「読みは偶然に左右される」とは、どういうことか。本文を踏まえて80字以内で説明せよ。

仮説:①材料(本文から)②骨組み(並べ方)

まずは材料探しです。今回の設問は「どういうことか」なので、答えの骨組みは
(言い換え)+(理由)が安定します。
材料は、本文中にほぼそのまま入っています。

材料候補(書き抜き):

  • 「どこを根拠に判断したかを振り返らなければ、読みは偶然に左右される」
  • 「『どこを根拠にそう判断したのか』を自分で説明できない」
  • 「その判断の支えとなる一文を示せない」

骨組み(組み合わせの型):

(偶然に左右=理解が安定しない)+(理由=根拠を示せない/振り返らない)

実験:答案を書く(書き抜き+組み合わせ+α)

材料をそのまま使い、骨組みに沿って並べます。最後にαとして、設問に合うように少し言い換えて整えます。

自分の答案(例):
どこを根拠に判断したかを振り返らず、判断の支えとなる一文を示せないまま読むと、理解が安定せず、読みが偶然に左右されるということ。

比較:模範解答と「材料・骨組み」で見る

模範解答は唯一解ではありませんが、ここでは比較用に例を示します。
大事なのは、合っている/違うだけで終わらせず、材料と骨組みで点検することです。

模範解答(例):
根拠となる一文を示して判断を振り返らないまま読むと、理解が安定せず、読みが偶然に左右されてしまうということ。


  • 材料:「根拠となる一文を示せない」+「どこを根拠に判断したかを振り返らない」
  • 骨組み:(理解が安定しない)→(だから偶然に左右される)

考察:なぜその材料・骨組みになるのか?

  • 材料の理由:
    設問のキーワード「偶然に左右される」に直結しているのが「振り返らなければ」「示せない」の部分だからです。
    ここを外すと、説明がふわっとしやすいです。
  • 骨組みの理由:
    「どういうことか」は、言い換えだけだと抽象的になりがちです。
    そこで(理由=根拠を示せない/振り返らない)を添えると、説明として安定します。

知見:次の問題でも再現できる“一言メモ”

最後に、次の自分のための知見を短く残します。たとえばこうです。

  • 「どういうことか」→(言い換え)+(理由)にすると、説明が安定する。
  • 材料は「設問語に直結する一文」を最優先。今回は「振り返らなければ」「示せない」が芯。
  • 答案づくりは「書き抜き+組み合わせ+α」。αは“読みやすく整える”程度で十分。

ここまでやると、国語は少しずつ「感覚の勝負」から「作業の積み上げ」に変わっていきます。
一回の問題が、次の問題のための“型”になります。

国語の「再現性」を一緒に作りたい方へ

国語は、才能よりも「やり方の固定」で安定していきます。
1対1の指導で、材料の取り方・骨組みの作り方・振り返りの仕方を、手順として身につけていきます。