教科書や問題集を開いた瞬間に、「情報が多すぎて頭が止まる」ことがあります。
家庭教師の白井では、そういう場面でまず“見るべきものを一時的に絞る”ための型として、「単純化」をよく使います。
国語の読解・記述はもちろん、理科の対照実験、数学の条件整理にも効く方法です。

単純化は「雑にする」ことではありません

まず大事な前提として、ここで言う単純化=手抜きではありません。
「全部を理解してから進む」のではなく、いま解くために必要な要素だけを取り出し、見える形に整える作業です。
いったん全体像が見えれば、細部(例外・注意点・言い換え)にも戻りやすくなります。

勉強が詰まる場面の多くは、能力の問題というより情報の並びが整理されていないだけ、ということが少なくありません。
「頭の中だけで整理しよう」とすると負荷が高いので、紙の上で整理する——これが単純化の狙いです。

実際、授業でよく見るのは「知識が足りない」よりも「見方が散っている」状態です。
だから最初にやるべきは、暗記を増やすことではなく、見方(整理の型)を1つ決めること。
型があると、同じ問題でも落ち着いて取り組めるようになります。

単純化の型① 記号化して、関係を矢印で出す

文章が長い、主語がやたら重い、要素が多い——そんなときは、まず名前を短くします。
主語や条件をA・B・Cなどの記号に置き換えると、いきなり見通しが良くなります。

  • ステップ1:長い主語・重要語句を「A」「B」などに置き換える
  • ステップ2:因果なら「A ⇒ B」、並列なら縦・横に並べる
  • ステップ3:対立なら「A ⇔ B」、条件なら「AならB」と矢印で固定する

こうすると、文章の“空気”に流されず、構造だけを見て考えられるようになります。
結果として、理解が早まるだけでなく、ミスの原因(読み落とし・勘違い)も見つけやすくなります。

小さなコツ:記号は増やしすぎない(最初はA・Bの2つで十分)。
まず「結論(B)」と「理由(A)」を押さえ、それでも足りなければCを足す、という順番が安定します。

完成見本:国語の記述を「A→B」で見える化

国語の記述や選択問題は、答えそのものを覚えるよりも、根拠(本文のどこを材料にしたか)を掴むのが最重要です。
解答解説を見たら、まず「この答えは本文のどの箇所に支えられているか」を突き止めます。

例(よくある形):「筆者はAだからBだと主張している」

① A(理由)とB(結論)に名前を付ける
② 紙にこう書く → A ⇒ B
③ 本文でAが書かれている箇所、Bが言い切られている箇所をそれぞれマーキング

ポイント:「何となくそう思う」ではなく、本文の場所で自分の答えを支える。

たとえば自分の解答を作ってから解説を読む場合でも、先に「自分は本文のどこを根拠にしたのか」を線で示しておくと、
解説の根拠と比べたときに読みのズレが一発で分かります。
これを繰り返すことで、「理想的な目の動かし方(根拠の拾い方)」に近づいていきます。

ここで大事なのは、マーキングが“綺麗な作業”で終わらないことです。
たとえば「根拠は1カ所なのか/2カ所を合わせるのか」「言い換えが起きているのはどこか」など、
線を引いた後に、必ず一言メモを残すと学びが残ります(例:「結論の言い換え」「対比で強調」など)。

国語の読解・記述を“型”から伸ばす話は、別記事でも詳しく書いています。
呉市で国語が苦手な中学生へ:読解・記述を“型”から伸ばす家庭教師

単純化の型② 表で「変える条件/変えない条件」を固定する

文章だけでなく、数値・条件・比較を扱う場面では表による整理が効きます。
典型例が、理科の対照実験です。
「調べたい条件だけを変え、他の条件はそろえる」——この原則を、表に落としてしまうとミスが減ります。

表の作り方(例):行=実験1/実験2、列=条件(光・水・温度…)

・変える列は1つだけ(ここが“調べたい条件”)
・他の列は同じ値で埋める(ここが“対照”)

数学でも同じで、条件が多い問題ほど「文章のまま覚える」のは危険です。
何が与えられていて、何を求めるのかを表や箇条書きにして、穴を埋める作業に変える。
すると、思考が安定します。

科目別ミニ例:単純化は“横に”使えます

単純化は国語専用ではありません。科目が変わっても「A/Bに置き換える」「関係を固定する」という骨格は同じです。
ここでは短い例を3つだけ挙げます。

数学:「条件が2つ以上ある」問題は、まず“条件表”にする。
例:与えられた条件=A(式)、B(範囲)、C(図形の性質)→「いま使うのはどれ?」を丸で囲む。

英語:長文の1文が長いときは、主語=A、動詞=B、修飾=( )にして骨だけ残す。
A(誰が)+B(どうする)を先に掴むと、後ろの情報に振り回されにくい。

社会:出来事を「原因A→出来事B→結果C」で並べる。
年号を覚える前に、矢印で“流れ”を作ると、暗記があとからついてきます。

こういう整理ができると、勉強が「苦しい読書」から「パズルの組み立て」に近づきます。
もちろん、最終的には細部も大事です。でも、入口で迷子になる子には、まず入口を作るのが先です。

単純化でやりがちな失敗(ここだけ注意)

  • 記号が増えすぎる:A〜Hまで増えると逆に混乱します。最初は2〜3個まで。
  • 元の言葉に戻れない:記号化したら、最後に「A=何だった?」を一言で言い直す。
  • 矢印の向きが曖昧:「原因→結果」「理由→結論」など、矢印の意味を固定する。

単純化は“道具”なので、使ったあとに必ず原文・原問題に戻って確認します。
この往復ができると、単純化が「手抜き」ではなく「理解の加速」になります。

このやり方が特に効くのは、こんなタイプ

単純化は万能ではありませんが、次のような“詰まり方”をする子には、とても相性がいいです。

  • ノートがごちゃごちゃになりやすく、どこが大事か分からなくなる
  • 長い問題文を読むと、途中で「何の話か」を見失う
  • 条件が多いと、頭の中で整理しきれずミスが増える
  • 「分かったつもり」になりやすいが、テストだと点につながらない

逆に言うと、単純化は「考える力がないからやる」のではなく、考える力を発揮しやすい形に整えるための下準備です。

体感としては、真面目に頑張るほど空回りしやすい子にも効きます。
まじめな子ほど「全部ちゃんと読まなきゃ」と抱え込みますが、単純化で“荷物を一回降ろす”と、急に前に進めることがあります。

体験授業では、こうやって一緒に作ります

体験授業は「説明を聞いて終わり」ではなく、その場で一度“型”を作って持ち帰れる形にします。
どんな教材でも、まず1問を選んで一緒に単純化します。

  1. 普段使っている教材(学校ワーク・塾教材・プリントなど)を持ってきてもらう
  2. 詰まっている問題を1つ選び、文章をA/B/Cに置き換える or 条件を表にする
  3. 「どこが根拠?」「どこが条件?」を一緒にマーキングして、思考の足場を作る
  4. 最後に、家で再現できるように“型”を短いメモにして持ち帰る

「宿題を塾・家庭教師の時間でどう扱うか」も、単純化と相性が良いテーマです。
学校の宿題を、塾・家庭教師の時間にやるのはアリ?なし?(答え:条件つきで“戦略”です)

関連リンク(あわせて読むと理解が深まります)

そもそも「家庭教師と塾(個別/集団)は何が違う?」という話は、こちらにまとめています。
1対1個別塾や家庭教師の特長

最後に:勉強を「進められる形」に整える

勉強は、気合いだけで押し切るよりも、「手が動く形」に整えた方が続きます。
単純化は、難しい内容を“薄める”のではなく、理解の入口を作るための技術です。

無料体験では、実際の教材でこの単純化を一緒に作ってみます。
うまくいけば、その日から家でも再現できるはずです。気軽にご相談ください。