令和6年と令和5年度の公立高校入試の作文解説
例年、広島県の公立高校入試では、国語において「作文」が出題されます。
作文は、配点がとても高く、国語の50点満点のうち、9点を占めることもありました。
※そのため、呉市内の有名高校(呉三津田や広、呉宮原、市立呉など)に行きたいのであれば、ぜひ正解(部分点は欲しい)したい問題です。
また、国語の制限時間50分の中で書こうとすると、200文字などの字数がネックとなり、時間内に書ききれない、ということが起こりえます。
しかし、実際には広島県の公立高校入試で問われているのは、作文の内容というよりも、「与えられた条件通りに書けているか」ということです。
そのため、この作文の設問で大きく失点しているならば、それは非常にもったいないことです。
以下では、令和6年度入試と令和5年度入試の2つの作文問題の解説をします。
書くことを求めらているのはどんなことであり、それをどういう形式で書けばよいか、ということに触れています。
※なお、設問文や本文は掲載していませんので、各自広島県教育委員会のHPや問題集などを参照してください。
令和6年度入試:漢文をもとにした80字作文
直近の入試(令和6年度:2024年度)では、漢文が出題されました。
漢文とはいっても、書き下し文が付されており、受験者として本文を書き下す手間が省け、古文と同様に読むことができるのではないでしょうか。
また、漢文本文の筋も(古文と比べても)非常にわかりやすい内容となっていますから、作文をする上での材料探しは容易だったと思われます。
一方で、広島県教育委員会が公表している「一般学力検査の結果の概要」によると、この漢文についての作文の正答率(満点)は3%で、部分正答率(部分点)は25%と、合計しても28%の方しか1点以上得点できていません。
この設問の満点は、6点(50点中)ですから、全体の割合を考えると非常に重要な設問だったといえます。
※ちなみに、「誤答率」は56%で「無答率」は16%でしたから、何かしら書いていたけれども得点できなかった人は相当いたようです。
作文作成のポイント
作文を作成にするにあたっては、条件をよく把握することが重要です。
今回は、生徒同士の話し合いの穴埋めをする形式でしたから、生徒の話し合いの文章も(本文同様)よく読む必要があります。
例えば、空欄前後は、「それを踏まえると、孔子は、( )から、・・・と言ったのかな。」となっていますから、「それ」の内容が重要になることがわかります。
そして、「それ」の内容は、本文ではなく、話し合いの中における、この生徒の発言の直前部分にあります。
すなわち、「人々の手本となるべき賜の取った行動が、後々に与える影響を考えた見たらよいと思うよ」に着目します。
上記を踏まえると、答案に盛り込むべき内容としては、以下のようになります。
- 「賜はどんな行動をとったのか」ということ
- 「上記の賜の行動が、後々の人々にどのような影響を与えると考えられるか」ということ
上記2点を、制限字数の80文字以内でまとめられれば、結構よい点数がもらえると思います。
補足:作文字数の下限
問題文では、「80字以内で」というように、文字数の上限は指定されています。
他方で、文字数の下限は指定されていないように見えますが、実際には暗黙の了解があります。
すなわち、「指定された文字数上限の8割以上は書いてほしい」という事です。
今回の問題で言えば、80字の8割ですから64文字以上ということになります。
これは、呉市内の公立中学校の定期テスト対策でも、同様のことが言われていますから、「指定字数の8割」というのは、広く受け入れられた設定のようです。
そのため、書いていて「8割に届きそうにないな」と思ったら、内容が不足していると考えられますので、もう一度本文や話し合いの文章を見て、足りない内容がないかを探してみましょう。
令和5年度入試:古文をもとにした200字作文
令和5年度の、広島県公立高校入試では、古文をもとにして200字作文が課されました。
なお、令和4年度以前は、こうした作文は独立した「大問4」となっていて、現代文をもとにして作文する形式でした。
そのため、今まで現代文の複数資料をもとに作文することを練習していた生徒さんにとっては、サプライズだったでしょう。
しかし、逆に言えば、現代文の複数資料を読解する手間がなくなったという事ですから、簡単になったとも言えます。
なお、今回は古文をもとにして、作文することが求められていますので、当然のことながら古文の内容がわかっていなければ作文できません。
特に、今回の設問の条件となっている、「主によりて歌の善悪をわかつ」の意味を、「歌の作者が誰かという事を基にして、歌の善し悪しを区別する」と正しく理解できていなければ、作文の難易度は跳ね上がったでしょう。
ただし、今回の作文の満点は9点だったので、ここを落とすと国語だけはなくて、合否に直結する大打撃だったかもしれません。
※とりわけ、呉三津田高校に合格したいならば、この問題では半分以上得点したいです。
なお、今回の作文問題の正答率(満点)は8%で、部分正答率(1点以上)は48%、合計すると56%くらいだったようです。
作文作成のポイント
まず、本文を正しく理解することが重要です。
上述の通り、この古文は、「歌の作者が誰かという事を基にして、歌の善し悪しを区別する」というテーマについての筆者の意見文です。
広島県の入試古文では、難しい部分の現代語訳が書かれていますが、すべてに書かれているわけではありません。
そのため、ある程度古文を読解する練習は(単語の学習も含めて)しておいたほうが良いです。
そのうえで、作文するのですが作文の条件は問題文に書かれています。
条件は、以下のようなものでした。
- 2段落構成とすること
- 1段落目には、歌以外の例を一つ上げて書くこと
- 2段落目には、「主」によって「善悪をわかつ」ことに対する自分の意見を書くこと
というものです。
例えば、1段落目には「絵画作品」を例として挙げたうえで、有名作者だとそれだけで高評価となり、無名だと内容は素晴らしくても評価が低くなりがちだ、ということを書きます。
また、2段落目には、「主によって善悪をわかつこと」に反対であり、だれが作ったかという事ではなくて、その内容に注目しなければならない、という事を書くとよいでしょう。
総括:広島県の公立高校入試の作文は難しくない
上記のように、広島県の公立高校入試の作文は、条件さえきっちりと踏まえれば、だれでも高得点が取れる問題です。
逆に言えば、内容にこだわるあまり、条件や形式を無視してしまうと、0点になってしまうこともあり得ます。
そのため、広島県の公立高校入試で高得点を取り、呉市の有名公立高校に合格したいならば、まずは「作文の練習」が必要です。
とはいえ、古典を題材とした作文はまだ2年分しか出ていませんから、類題を探すのが大変です。
過去問をやりこむのも重要ですが、こうした過去問に対応するには類題を出している塾用教材(予想問題集)をやるのがお勧めです。
呉市の家庭教師の白井では、こうした広島県の公立高校入試の変化に対応する対策、教材のご提供も行っています。