令和5年度以降の広島県公立高校入試の形

すでにご存じの方も多いと思いますが、「選抜1」「選抜2」というような広島県公立高校入試の現行制度は、今年(令和4年度)で終了となります。

新制度については、県教委のホームページ(公立高等学校入学者選抜制度の改善について)で公表されています。

こちらの入試の特徴については、今後もアップデートしていく予定ではありますが、重要な点について絞ってご説明します。

新制度で分かっていること

これは、執筆時点(令和4年3月25日)の情報で、今後続報があれば随時修正していきます。

まず、新制度において既に分かっていることを5つに絞って列挙します。

  1. 調査書(内申点)と一般学力検査(入試問題)と自己表現の比率が、「原則」2:6:2になる。
  2. 調査書(内申点)の内訳の比率が、1年生の成績:2年生の成績:3年生の成績=1:1:3になる。
  3. 各学校は、特色枠として、定員の50%以内の割合において、1で上述した比率(2:6:2)を変更して合格者を決めることができる。
  4. 自己表現では、かなりの表現の自由度があり、満点(15点:面接官1人当たり)と最低点(9点:面接官1人当たり)の差は40%である(面接官は最大3人)。
  5. 一般学力検査(入試問題)は、1日に5教科すべてを実施し、自己表現は2日目に実施する。

1 一般学力検査の重視

一般学力検査の比重がかなり大きくなります。

具体的には、上述の通り一般学力検査の比率が6に対し、調査書と自己表現は2となっています。

もちろん、このことにはメリットとデメリットがあります。

 

メリットとしては、次で挙げる3年次の成績重視と相まって、1,2年次の成績が悪くてもそのあと改善して受験本番で高得点を取れば、逆転できる、ということです。

また、いわゆる「本番に強い」人にとっても有利な入試になるでしょう。

 

デメリットとしては、1,2年次の蓄積がほとんど役に立たないことです。

これは、普段真面目に授業を受ける一方で、本番のプレッシャーに弱く(また気分のむらが大きく)得点力が安定しない人にとっては、不利になる入試だとも言えます。

 

しかし、実際には特色枠の割合は旧選抜1の時よりも大きな最大50%となっていますので、自分の得意な土俵(受験校)で勝負(調査書重視の学校)すればよいともいえます。

2 3年次の成績の重視

3年次の成績が3倍されます。

つまり、1年次の成績:2年次の成績:3年次の成績=1:1:3ということになります。

 

以前は、1年次の春課題試験の成績も同じ割合で評価されたために、かなり早期から対策が必要でしたが、その意味ではかなり楽になったとも言えます。

一方で、3年次の成績は3倍されますので今までの(2年次までの)頑張りを実際に3年次の試験で点数として発揮する必要があります。

※また、いわゆる副教科(音楽、美術、技術家庭、保体)の成績は学校によっては2倍されません。

3 特色枠について

特色枠については、すでに公表されており、県教委のホームページの「令和5年度広島県公立高等学校入学者選抜の実施内容」から閲覧できます。

その中でも、呉市内の学校のうち、いわゆる「3校」と呼ばれる学校について説明します。

3・1 呉三津田高校

呉三津田高校の入試の特徴は、以下の通りです。

  • いわゆる副教科(音楽、美術、技術家庭、保体)の成績は2倍されない(全教科同一)。
  • 特色枠の割合は50%
  • 特色枠では、一般学力検査:調査書:自己表現=400:400:200の割合で評価される。(学力検査と調査書が同率)

※一般枠、特色枠双方において、一般学力検査のすべての科目が同率で評価されます。(国語:社会:数学:理科:英語=1:1:1:1:1)

3.2 広高校

広高校の入試の特徴は、以下の通りです。

  • いわゆる副教科(音楽、美術、技術家庭、保体)の成績は2倍される(副教科重視)。
  • 特色枠の割合は50%
  • 特色枠では、一般学力検査:調査書:自己表現=400:400:200の割合で評価される。(学力検査と調査書が同率)

※一般枠においては、一般学力検査の科目のうち国語、数学、英語が2倍されます。(国語:社会:数学:理科:英語=2:1:2:1:2)

※特色枠においては、一般学力検査のすべての科目が同率で評価されます。(国語:社会:数学:理科:英語=1:1:1:1:1)

3.3 呉宮原高校

呉宮原高校の入試の特徴は、以下の通りです。

  • いわゆる副教科(音楽、美術、技術家庭、保体)の成績は2倍される(副教科重視)。
  • 特色枠の割合は50%
  • 特色枠では、一般学力検査:調査書:自己表現=300:500:200の割合で評価される。(調査書を重視)

※一般枠においては、一般学力検査の科目のうち数学、英語が2倍されます。(国語:社会:数学:理科:英語=1:1:2:1:2)

※特色枠においては、一般学力検査のすべての科目が同率で評価されます。(国語:社会:数学:理科:英語=1:1:1:1:1)

4 自己表現について

自己表現については、教育長を含めたYouTubeオンライン説明会があり、そちらも踏まえたうえでのポイントは以下の通りです。

  • 一般学力検査の日(1日目)に試験終了後30分で、自己表現カードを作成する。
  • 一般学力検査の翌日(2日目)に、1人当たり5分程度で自己表現を行い、その後3分程度の質疑応答がある。入退室時間2分を加えた、1人当たりの所要時間は10分程度である。
  • 電子機器などの持ち込みも可能で、1人当たり最大30秒までの動画を流して自己表現に加えることも可能。
  • 評価の観点は、以下の3点(ア 自己を認識する力 イ 自分の人生を選択する力 ウ 表現することができる力)で、それぞれ3点~5点で採点される(満点15点、最低点9点)。
  • 検査官は最大3人で、その合計点が自己表現の点数となる。
  • いわゆる「棒読み」は低評価であり、また自己表現カード自体も評価の対象ではなく、参考資料。あくまで、本人の上記3点の力を判定する。

これらを踏まえると、塾・家庭教師としても、今まで以上に生徒さんの主体性を伸ばすような教育方針が必要になると思われます(容易ではありませんが)。

また、動画を提示してもよいことから、何らかの大会やコンテストなどに出場する可能性のある人は、その模様を動画撮影しておくとよいでしょう。

5 試験本番の日程について

従来選抜2では、1日目に国語・社会・数学を実施し、2日目に理科・英語を実施するということで、1日当たり最大で3科目でした。

※試験1科目当たりの試験時間は、(変更がなければ)50分です。

しかし、新制度では1日日に5科目すべてを実施します。

※そして、そのあとに自己表現カードを作成します。

 

そのことから、受験生には今まで以上の集中力の持続が求められます。

そもそも広島県の公立高校入試は、大学入試改革を踏まえて、かなり思考力と記述力、そして読解力を要求するものになっています。

最近は、やや平均点は上昇傾向にあるものの、中学校の教科書改訂(難化)の影響を受けてまた難しくなるようであれば、受験生への負担は相当なものになるはずです。

 

したがって、普段から長時間集中して勉強するなどして、集中力を鍛えておくとよいでしょう。

6 その他:呉市特有の事情

広島市内と比較して、呉市ではどの学校でも定員割れが頻繁に起こっています。

呉三津田高校でも、選抜2の受験倍率は0.86倍でした(令和4年度入試)。

※他方で、呉市立呉高校では、1.48倍と久々の高倍率でした。

 

したがって、入試制度が変わったからといって、実質的な難易度がそれほど変化するとは思っていません。

しかし、今年の呉三津田高校でも、いわゆる「定員内不合格」が数名出たことから、どんな成績でも呉三津田に入学できるわけではなく、また呉三津田高校では毎年数名がいろいろな事情でやめていく生徒さんもいらっしゃることから、中学時にどのような学習をしていくかということが、今後も変わらず重要になります。

7 総括

上記のように、広島県の公立高校入試は令和5年度から、かなり変わることが想定されます。

※ご家庭によっては、本番の学力試験のみでほぼ決まる中学受験を先回りして選択されることもあるかと思います。個人的には、その選択もかなり良いと思っています。

 

その中でストレスなく勉強するには、情報の収集と整理も重要になるでしょう。

「家庭教師の白井」では、勉強を教え学習を後押しするだけでなく、こうした情報の提供とアップデートも随時行い、安心して日々頑張れる環境づくりを行っております。