コラム

国語問題文(設問)の読み方

問題文というのは、文章ではなくて、例えば問1とか問2とかそういう設問の文を指します。これが、国語の解答作成において決定的に重要になることもありますので、今回はそれについて触れます。

※個人的にこのテーマは関心があるので、適宜加筆していきたいと思います。

指定語句がある場合

この単語を必ず使用しなければならないという指定がある場合です。一見すると、自分で書きたい内容があるのに語句を指定されると、「書きづらい」と思う人もいるでしょうが、他方で指定語句というのはかなりのヒントになっています。

指定語句は、解答を作成するうえで中心となるキーワードになるからです。したがって、指定語句がある場合にはその言葉が文章中でどのように使われているのか、ということをよく確認して、間違っても文章中の書き方とは矛盾する意味付け、書き方をしないように気を付けましょう(単にその語句を使用すれば点がもらえるわけではなく、使い方まで見られていると考えるべき)。

また、絶対とは言い切れませんが、指定語句の個数は解答に盛り込むべき論点の個数である可能性も高いです。例えば、指定語句がAとBの2つあるとしましょう。この場合、ありがちな解答例としては、次の2例が考えられます。

① Aはαであり、またBはβであるということ。

② AとBは(AもBも)、γであるということ。

ちなみに、ここではγはαとβの共通点だとしましょう。どちらも、実質的には同じ内容だとしても、私は出題者の想定している答案としては、①の並列型のほうが可能性が高いと思います。特に、文字数的に並列で書くと字数が少なすぎる場合には、そもそも書き方のフォーマットが誤っている考えるべきです。

もちろん、①も②も理論上はあり得ますし、そういう多くの可能性を1つに絞り込んでいくためには、設問だけではなくて本文の構成(意味段落)を見ていく必要があります。だから、この方法には必然的に限界はあるのですが、それでも「①なら大体どんな答案になって、②だとこうなるけれど、字数制限や指定語句の使われ方を見ると、おそらく①かな」とか、「並列?確かに普通に考えればそうだけれど、文字数が厳しいから②のように書くか」というような思考実験はしてほしいと思います。

補足:傍線部近くを探してもなさそうな場合の対処法

「傍線部の近くを探せ」と言われることが多い国語の読解問題ですが、絶対に傍線部のそば〇行以内に根拠があるとは言えません。説明文の場合、筆者はわかりやすく書こうとしている結果、同じような場所に同じような内容が来るように本文を構成することが多いというだけです。

例えば、Aという主張をする文章があったとして、その根拠でB1とB2が挙げられていたとしましょう。そして、B1のどこかに下線が引かれていて、その内容説明が求められているとします。

しかし、本文の構成は絶対に、「A→B1→B2→A」だとは限りません。特に長い文章では、「A→B1a→B2a→B1b→B2b→・・・→A」というような、話題が途中で入れ替わるということもあります。この場合、B1に関連する内容はB1aだけではなくて、B1bにも書かれていますので、そちらも参照する必要があります。

したがって、意味段落の把握はここでも有効であり、探すべき場所と飛ばしてもよい箇所の区別が重要になるといえます。

「文章中の言葉を使って」と問われている場合

これは、かなりのヒントというか指定です。

※個人的な経験に即していえば、(公立)中学校の読解問題に多いイメージです。

※一般的に、この留保がついている場合には、本文中の語句や表現の言い換えまでは求められていないことが多いです。

よく「抜き出しなさい」という問題がありますが、それに非常によく似ています。「文章中の言葉を使って」とある場合も、その文章から書きぬいて、利用します。ただし、その書き抜く作業は1回(1か所)で終わりとは限りません。複数個所を書き抜いていく必要があることもあります。複数個所を書き抜くことが求められている場合には、自分で書き抜いた表現をうまく助詞や接続詞を使いながら、自然なつながりにする必要があります。

※当たり前のことですが、本文中「AはBである」と書いてあるものを、「AはBでない」という風に、本文の趣旨と矛盾する書き方をした場合、いくらAとBを正確に書き抜いていたとしてもその部分は0点になると思います。

なお、書き抜いた個所をまったくそのまま書くとは限らない点には注意です。例えば、抜き出した箇所が「これからの時代、人類は地球環境を守らなくてはならない」というもので、質問が「どういうことですか」という場合には、「これからの時代、人類は地球環境を守らなくてはならないということ」のように、文末を変えて答えます。また、「我々には、未来の世代のことを考える義務がある」という場合には、「我々は未来の世代のことを考えなければならないこと」のように、言い換えてもよいでしょう。

このように、若干の工夫は必要なものの、「文章中の言葉を使って」というのはかなりのヒントであり、正しい個所を抜き出していさえすれば、三角以上は期待できるでしょう。

「本文全体を踏まえて」と問われている場合

こちらは、やや複雑です。ですが、難易度の高い学校の問題ではこのタイプの問題にも対応できるようになっておく必要があります。一般に、本文全体と言ったらかなり量が膨大ですし、本文全体の要約を書いたとしてもそれでよいかは微妙です。

※そもそも要約をきちんと書くのは、結構大変な作業です。

そのため、本文の内容(テーマ)も大事ですが、それに加えて本文の書き方(意味段落)に注目してみてはどうでしょうか。

例えば、対比を用いて2つの事柄を比べるようにして記述されている文章の場合には、答え方の形として「Aではなく、Bである」というようなものが考えられます。あてずっぽうに、事柄を羅列すると「Aであり、Bであり、Cであり、Dである」のような、わかりづらい答えとなる恐れがあります。

※基本的に、自分で読んでわかりづらいものは、ほかの人とが読むとさらにわかりづらいことが多いです。

※国語の文章(というよりも論理的な文章全般)には、①イコールの関係や②対立関係、③因果関係、などが用いられています。これらを単語レベルではなくて、文や段落、意味段落レベルで運用(読みと書き)できるようになっていることが求められます。

本文の内容理解に加えて、本文の書き方・説明方法・展開に着目して書けるようになるとよいですね。

要注意キーワード「変化」「心情」

「変化を説明しなさい」とある場合、次の3点を盛り込むことが前提になっています。すなわち、①変化の前、②変化のきっかけ、③変化の後です。書き方としては、「当初はAだったが、Bがきっかけで、Cになった。」というようなものが一般的です。

また小説読解問題における、「心情を説明しなさい」という設問は、単に「心情の内容」すなわち、嬉しさ、悲しさ、怒り、満足、などを書くだけでは不十分です。心情説明問題では、心情の内容に加えて、どうしてそういう心情になったのか、という理由や経緯(事実関係)の説明が求められています。

したがって、書き方としては「(Xは、)Aなので、Bだと思った。」という形式になるでしょう。

※そして、往々にして配点はB自体よりも、Aのほうが重いことが多いです。

思考力(意見記述)問題の答え方

国語(現代文)と小論文の境界線はどこにあるか、という問題についてはここでは触れないでおきます。そのうえで、最近は本文を読んだうえで、(いくらか条件を付して)自分の見解・考察を述べることが求められることがあります。

※しかも、配点が高いことも多く、100点満点のテストで10点の配点のことも多いです。

ただ、国語のテストですから、本文の主張に触れる必要があることは暗黙の前提です。ですから、自分の意見だけを書いたとしても十分な点数は得られないどころか、本文を踏まえていないので最悪0点になるかもしれません。

おすすめの書き方は、「筆者はAと主張している。私は、このAについてBだと思う。なぜならCだからだ。」などです。

※英検の英作文の問題の定型的な書き方と似ています。

Cの自分の意見の部分では、本文とは異なる視点・具体例を導入してもよいでしょう。慣れてくれば、AとBとCの順番を入れ替えたり、表現を工夫したりして、より自分らしさを主張する書き方に変えるのもありですが、応用的なことは確かな基礎の上に成り立つと思っていますので、まずは本文の要約(主張の抽出:これだけでも難しい)から始めましょう。

総括

国語の問題は、いかにしてヒントないしは根拠を見つけるかが記述のカギです。国語が安定している人というのは、問題(出題者)が求めているものを見抜くのが上手で、それは設問の読解力があるということです。

また、複数の解答例を想定したうえで、それぞれの可能性やリスクを見極められる人は、かなりの「やり手」だといえます

また、解答解説を参照する場合には、内容や表現を見て納得したり、本文の該当箇所を探したり、といったことだけではなくて、設問をどう解釈すればよかったかという、より出題者の目線に立ったことも注意するとよいです。