国語徹底指導

言語とは形式です

私の家庭教師と塾は、「あたりまえ」を大切にしている一方で、ほかの塾や家庭教師、教育サービスにはない特長も打ち出しています。それが「国語徹底指導」です。国語と現代文に主軸を置いて教えている家庭教師や塾は、(数学や英語と比較して)あまりないような気がします。

それは、国語という科目を教えることの難しさや手間や労力、あるいはコストパフォーマンスというものに起因するのかもしれません。

確かに、国語を「教える」ことはなかなか高度なことであり、教師に求められる経験やスキルも他教科と比べて高くなります。だからこそ、「家庭教師の白井」では生徒さまとの対話や議論を通じて、国語力を鍛えるように工夫しています。

 

また国語は長期的に見れば、他科目も含めた勉強全体の底上げになっていることもわかります。

というのは、国語(Japanese)というのは、母語(第一言語)の運用能力を高める科目だからです。もちろん、非言語的コミュニケーションも重要ですが、それに加えて言語的思考力も鍛えておくことで、言語で書かれたもの(書物)から得るものや得る効率が改善します。

例を挙げますと最近は、大学入学共通テストなどをはじめとして、「資料を読解する」問題や、「問題文が長い」問題が増加しています。公立高校入試(広島県)でも同様です。しかし、これら大量のテキストは実はあまり重要でない部分のほうが多く、受験生としてはいかに短時間に必要な情報だけを見つけて先に進むかが重要となります。

また、テストだけではありません。教科書や参考書は学習するうえで決してなくてはならないものです。とりわけ、参考書学習は高校生になったら身についているか/いないかで、志望校にも影響を与えてしまうくらい重要な要素です。なので、参考書を手早く読んで自分にとって欠けているもの、不十分なものを取捨選択するという能力は、学習段階でも重要なわけです。

ところで、私は「わかりやすい(論理的な)文章」というのは、すべて一定の形式に従って書かれたシンプルなものだと考えています。すなわち、読者としては(論理的な)日本文の形式を学んでいることが期待されるわけですが、残念なことにそれを身に着けていない学生も結構多く、それが非効率な学習や、参考書の誤読などにつながっているというのが実情です。

実際、論理的といわれている文章の形式は、そんなにバリエーション豊かというわけではなく、人によっては「覚えるだけ」で解決することもあるくらいです。なので、これは非常にもったいないと思い、私は国語を中心に指導しているというわけです。

繰り返しになりますが、言語とは形式です。形式(ルール)を守らずに言いたいことを伝えることはできません。その意味で、私は英語をやる前にまずは国語を徹底的に(わかりやすく)指導するべきであると考えています。

国語における論理関係

国語における論理関係は、他でも結構言われるようになりましたが、これについて書くことは国語を教えている者のある種の義務だとも思っているので、私も書こうと思います。

国語の論理関係は、大きく分けて2種類あります。1種類目は、内容と内容の関係です。これは、もう少し細かく分けると3種類あります。そして、2種類目は一文を正確に分析し単純化することです。

内容と内容の論理的関係

以下の3種類は、ぜひ覚えておいていただければと思います。なお、人によっては4種類あるという人もいますので、そちらも紹介しておきます。

  1. イコールの関係:同じ内容の「言い換え」、抽象化と具体化、比喩とその具体化など
  2. 対比関係:対立する(対比される)内容、反対意見や対概念など
  3. 因果関係:原因と結果、理由と結論など
  4. ※類比関係:関連のある別の話題への移行

なれない人は、内容と内容を四角形や丸で囲ったうえで、それらを「イコールの関係なら、”=”マーク」、「対比関係なら”⇔”マーク」「因果関係なら”→”あるいは”←”マーク」をつけるという作業をしてみてください。

また、接続語には三角マークなどをつけると、内容と内容の論理的関係の把握に役立つでしょう。

一文の分析と単純化

「日本語はあいまいだ」とか言われることがありますが、それは「主語の省略」とか「語彙の表す意味内容」の話であって、日本文そのものの形式は(「助詞」がある分、ある意味英語よりも)非常に論理的です。

日本文のうち、文の骨格部分(要点、主たる内容)と、肉付け部分(修飾部分、従たる内容)とがあるので、それを分けることが重要です。

  1. 文の要点:主語、目的語、述語
  2. 文の飾り:修飾語(形容詞、副詞)

このように分けることは、とりわけ長い一文の意味を理解するときに大変役立ちます。とりわけ、高校現代文になると、わかりづらい一文が登場し、それらを読み解くことになりますが、その一文が「わかりづらい」と感じる要因は、おそらく修飾部分が長いからです。そのため、何が言いたいのかということの把握が困難になっているのですが、この場合もまずは修飾部分をカットして、要点部分のみを先に読んで修飾部分を後から付け加えることで、わかりやすくなります。

この「一文の分析と単純化」は、(慣れれば)結構簡単なので、サクサクと文章を読んでいくことも可能になります。慣れないうちは、主語や目的語や述語にはそれぞれなにか記号を付けて、修飾部分は括弧でくくるなどのビジュアル的要素が必要かもしれません。

国語指導が必要な理由

これで「種明かし」は終わりです。しかし、「そうは言われてみても、自分でこれを実践するのはなかなか難しい」と思われた方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。

はい、確かに「それができれば苦労はしない」という方がおそらく大半です。なので、私はこの国語の論理を使いこなすための、実践のサポートをしているのです。そしてその実践方法は、生徒さまそれぞれの現状や性格に応じた具体的な(ある意味「場当たり的」な)ものです。

国語指導において重要なのは、上記のようなインプット情報をわかりやすく伝えることもですが、それ以上に生徒さまが実際にどうやってアウトプットしているのか、ということの観察とその観察に基づいた分析、その分析に基づいた対話ではないかと思っています。

私は、国語を教える人は「話が面白くないといけない」と常々思っているのですが、言語的なノウハウを自分のものにさせるためには、ある種の言語を超えた非言語的なノウハウが必要ではないかと考えています。

なので、私自身国語を教えている時が一番楽しいですし、生徒さまから見てもおそらくそのはずです。そして、国語力を身に着けた生徒さんとなら、数学や英語といった他教科の学習もより充実したものにできます。その理由は、くどいようですが「話が通じる」からです。国語を学ぶことによって、話したり聞いたり読んだり書いたりする能力も底上げされ、学校での学習はもちろん、日常生活もより過ごしやすいもになるでしょう。また、将来的に資格などの勉強において、書店で参考書を買って読むだけで身につくようになるので、コストパフォーマンスは実は高いといえます。

このように、「国語は人生の基礎体力」だと私は思っています。なので、これまでもこれからも国語指導には力を入れていきます。

国語教材の例

一般論が多くなりましたので、具体的な話も最後に少し書きたいと思います。

小学生の国語指導

小学生の方といっても、国語への習熟度は人それぞれですので、一概には言えません。ただ、よく使う教材は出口先生のお書きになられた『論理国語』シリーズや、福嶋先生のお書きになられた一連の問題集です。これらは大変優れている本であると私は思います。なぜなら、上記で説明しました国語における論理的な要素を、順を追って学ぶことができるからです。

他方で、教える側としてはもう一工夫必要です。これら「論理」を学ぶ本は、「実践」としての長文読解問題が少ないことが多いからです。そのため、これらの本をサポートするために、生徒さまのレベルに応じた文章読解問題集も準備することが必要です。これは、様々なシリーズがありますが、例えば塾専用教材でいうと『新演習』シリーズや『ウィンパス』、中学受験系でいうと『中学受験新演習』などがあります。ただ、これらの問題集は解説が教師向け、というよりも、解説自体がそこまで丁寧でないことが多いので、教師が行間を読んで補足説明する必要があるように思います。

中学生の国語指導

中学生用国語教材としては、私が自信をもってお勧めできる市販教材があります。

それは、東京学参『国語長文難関徹底攻略30選』です。確かに難易度は高めです。なので、だれでも使いこなせるわけではありませんが、他方で一つ目の文章から有島武郎など、有名著者の文章ばかりですので、それだけでもやる意義はあります。しかし、この問題集の最大の魅力は解説の詳しさにあります。単に「本文のどこどこを参照」というような、ありがちな説明ではなく、それぞれの設問における記述答案の骨組みの指南や本文解釈の仕方などを非常に具体的に説明しています。

ちなみに、塾専用教材では『標準新演習』や『ウィンパス』や『新中学問題集』といった教科書の内容に基づかない独自の編集のものと、『定期テスト対策ワーク』や『必修テキスト』や『Keyワーク』といった教科書の内容をもとに編集されたものがありますが、余裕がある生徒さまにはそれぞれ1冊ずつ持たせることがあります。

高校生の現代文指導

高校生の生徒さまの場合、国語指導においても現状や目標に応じて市販教材を使い分けます。

ただ、教材選びのコンセプトは小中学生と一緒であり、「解説が詳しく、自学自習が可能なもの」を選びます。

例えば『田村のやさしく語る現代文』は入門書として最適の構成・内容になっています。また採点基準も明確で実践的なのは『国公立標準問題集CanPass現代文』などです。

ちなみに私のお気に入りは、『ドラゴン現代文』や『京大入試詳解25年 現代文』の本文とその詳しい解説です。それぞれ、1問1問に対する取り組み方、考え方が非常に長く説明されており、これらをじっくり読み込むことのできる下地があれば、やってみる価値は十分にあります。