更級日記「物語」テスト創作問題
「更級日記」の学習
高校古文で習う「更級日記」ですが、私はこの古文が大好きです。また、今日授業で更級日記のもっとも有名な「物語」の個所を扱ったので、この部分を利用してテスト問題を作成してみました。テスト形式は、最近はやりの「生徒同士の会話」をイメージしました。定期テスト対策にいかがでしょうか。興味のある人や、高校生の方は解いてみるといいかもしれません。
広島県呉市の家庭教師の白井では、こうしたオリジナルテスト対策問題も生徒さまのリクエストに応じて作成しています。
テスト問題
問い 「后の位も何にかはせむ。」について。生徒たちが次のような話し合いをした。更級日記(物語)本文とこれを読んで、以下の問いに答えなさい。
九条さん:この更級日記作者の考え方は、当時の常識からすると考えられない発言だといわれているよ。どうしてかな?
鷹司くん:まずは、この発言を訳してみよう。( ア )を表している「かは」に注意して訳すと、( イ )のようになるよ。ちなみに、ここで「后の位」と比べられているのは、直前にある( ウ )のことだね。
近衛さん:ちなみに、后の位に実際にいた人というのは、例えば( エ )に登場する中宮定子や、『源氏物語』の作者( オ )の主人である彰子がいるね。彼女らは、当時の女性としては、これ以上望めない最高の地位にいたわけだから、その后の地位と比べているだけでも、更級日記作者の考えはとびぬけていたんだね。
一条くん:でも、更級日記作者も手放しで物語の世界に耽溺していたわけではないようにも思えるな。例えば、物語を手にして喜んでいた時も、( カ )という夢を見たわけだし、またそれを老後に振り返った時には、( キ )というように振り返っているよ。
二条さん:つまり、更級日記作者は一人の心の中に矛盾した二つの価値観をもっていたということだよね。要するに、( ク )と考えていたということだよね。ところで、彼女は実際の人生は平凡な男性貴族と結婚するなど、期待とは違う人生を歩んだらしいよ。そんな中で、『源氏物語』をはじめとする物語は更級日記作者にとってどんな役割を果たしたのか考えてみようよ。
九条さん:更級日記作者が、あこがれの登場人物として、光源氏の愛した( ケ )や薫の大将の愛人だった( コ )を挙げている点は参考になるね。あえて、メインヒロインである紫の上や、地方の出身だけど大成功した明石の君を挙げていないのはどうしてだろうか。
鷹司くん:それは、( サ )と思うよ。
近衛さん:なるほど、非常に興味深いね。
問一 ( ア )に当てはまるものを次から選べ。
あ 対句 い 疑問 う 反語 え 感嘆 お 否定
問二 ( イ )に当てはまるように現代語訳を書け。
問三 ( ウ )に当てはまるように現代語で書け。
問四 ( エ )に当てはまる作品名を書け。
問五 ( オ )に当てはまる人物名を書け。
問六 ( カ )に当てはまる古文の該当箇所を過不足なく現代語訳せよ。
問七 ( キ )に当てはまるように現代語で書け。
問八 ( ク )に当てはまる内容を現代語で書け。ただし、直前の「矛盾した二つの価値観」の内容を明らかにすること。
問九 ( ケ )に当てはまる人物名を抜き出せ。
問十 ( コ )に当てはまる人物名を抜き出せ。
問十一 ( サ )に当てはまるあなたの考えを
現代語で書け。ただし、次の条件をすべて満たして書くこと。
(条件)
① 会話で挙げられている『源氏物語』の登場人物を二人以上挙げたうえで、更級日記作者(の考えや境遇)と比較して書くこと。
② 直前の二条さんの発言中の「物語が更級日記作者に果たした役割」に対するあなたなりの考えを書くこと。
問い 次の傍線部の敬語の種類と敬意の方向を指摘せよ。
- 「母、物語など求めて見せ給ふに、」
- 「この源氏の物語、一の巻よりしてみな見せ給へと、」
- 「親の太秦にこもり給へるにも、」
- 「異事なくこのことを申して、」
- 「何をか奉らむ。」
- 「ゆかしくし給ふなるものを奉らむ。」
問い 次の傍線部を文法的に説明せよ。なお、一単語とは限らない。
- 「誰もいまだ都なれぬほどにて、」
- 「いと口惜しく思ひ嘆かるるに、」
- 「をばなる人の田舎より上りたる所に」
- 「いとうつくしう生ひなりにけり。」
- 「あはれがり、めづらしがりて、帰るに、」
- 「ゆかしくし給ふなるものを奉らむ」
- 「まめまめしきものは、まさなかりなむ。」
- 「后の位も何にかはせむ。」
- 「髪もいみじく長くなりなむ、」
問い 以下の空欄に【 】で示した語を活用させて入れよ。
- 「得て帰る心地のうれしさぞ( )や。」【いみじ】
- 「浮舟の女君のやうにこそあら( )、」【む】
問い 次の傍線部の古文単語の傍線部における意味を書け。
- 「げにおのづから慰みゆく。」
- 「いみじく心もとなく、」
- 「ゆかくしくおぼゆるままに、」
- 「いと口惜しく思ひ嘆かるるに、」
- 「いとうつくしう生ひなりにけり。」
- 「まめまめしきものは、まさなかりなむ。」
- 「わづかに見つつ心も得ず心もとなく思ふ源氏を、」
- 「おのづからなどは、そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに」
- 「いと清げなる僧の」
- 「盛りにならば、かたちも限りなくよく、」
- 「まづいとはかなく、あさまし。」