家庭教師のおける5W1H

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序章

1.5W1Hとは?

しばしばいわれるのは「良い文章というのは5W1Hが明確である」ということです。

 

なるほど確かにそうです。

ものごとは確かに多面的ですが、それらを「時」「場所」「人物」「対象」「理由」「手段・様態」によって切り込んでいくことにより、それぞれ独自に掘り下げていくことができます。

ところで、この掘り下げ方は(個人)家庭教師の意義を考えるうえでも有用化と思われますので、以下「序章」として5W1Hにつき、より具体的に何に着目するのかということに関して簡単に見取り図を俯瞰してみましょう。

2.Whenとは?

時間は常に過去から現在、そして未来へと流れます。

その逆はあり得ません。

ところで「勉強」における時というと林修先生の「いつやるの?いまでしょ!」が思い浮かぶ方もいらっしゃるかと思います。

 

ただ、それについては「Why」のところでご説明したほうがより趣旨が明確となるでしょうから、この章ではおもに「時間帯」なり「時期」が勉強・学習に関してどのような影響を与えるのか、家庭教師を頼むならいつ頃から、または何曜日の何時くらいが理想的か、ということについて私なりの見解を述べようと思います。

3.Whereとは?

勉強における場所。

勉強はどこでするのか?

 

「学校」「塾」「家庭」「図書館」などいろいろあるでしょう。

それぞれの場所で勉強すると、どのようなメリット・デメリットがあるのか。

塾と家庭教師ではどのような点が異なるのか、ということについて、実体験を交えながらご説明したいと思います。

4.Whoとは?

 

勉強は誰のものか。

これについては、ほかでも述べたことがあります。

ですので、ここでは本人以外に勉強において重要となりうる人物はだれか。

 

また、どのような影響を本人に与えうるのか、与えるべきか、ということについてそれぞれご説明します。

5.Whatとは?

いったい何を勉強すればいいのか。

このような疑問や悩みを持たれている生徒様がいらっしゃることがあります。

ただこの点については「How」と交錯するところもありますので、そちらで述べましょう。

 

ここでは、具体的に勉強に役立つツールとして「参考書」「問題集」「過去問」等を挙げて、これらをどのように選定すればいいのかということについてご説明します。

 

6.Whyとは?

勉強は一体、何のためにするのでしょうか。

勉強をして何か役に立つことがあるの?

 

そしてやる気を出させるために家庭教師のできることやその限界とは?

おそらく、生徒様や親御様にとって関心の高い分野だと思います。

したがいまして、私の個人的な学習経験や生徒様を観察することによって気づいたことなどをもとにして、学校や塾、家庭教師でやることはどのような意味(意義)があるのかについて考えてみましょう。

 

7.Howとは?

最後は「How」つまり、手段や方法・様態です。

 

お勉強をよりうまくするためにはどのようなやり方が良いのか。

正直この問いは、生徒様のタイプやご家庭の状況によって場合分けをせざるを得ません。

結果を出す生徒様の共通点とは?

家庭教師を頼む本当の意味とは?

わたしの教育理念も交えて、深く考えてみましょう。

第1章 家庭教師における”When”

家庭教師はいつからつけるのがベストなのか

しばしば感じるのは、多くの方は家庭教師を「手遅れ」一歩手前でご検討なさることです。

それは、家庭教師がハイコストだということもあるのでしょうが、こちらとしても「もっと時間があれば、さらに志望校を上げられたのに」と思うことが少なくありません。

そもそも、家庭教師は何のためにつけるのでしょうか。

それは「わからないところ」を教える以上に、一人では身に着けることの難しい「国語力」「読解力」「記述力」や「勉強の計画立案能力」を身をもって知ってもらうということがあります。

これらの能力があると、テストだけではなく学校での学習効率も非常に高まりますから、できるならば新学期のスタートや、中学1年生(高校1年生)の始まる前段階において、よい家庭教師をつけることをお勧めいたします。

ただ、上述のように「直前期」に頼まれることもしばしばあります。

その場合には、とりあえず受験を突破していただくために、結構なハードスケジュールで授業を進めることになります。

ただ、その受験が終わった後(高校入学前など)においては、なるべく勉強や国語の楽しさを知ってもらうべく、自由なスタイルで授業をすすめさせていただいております。

また、ごきょうだいなどがいらっしゃる場合には、上の子の成果を見てより早い段階で、家庭教師をお願いされることがあり、そうなると下の子のほうが「できる」ようになります。

 

 

ところで、小学生の低学年の場合はやや事情が異なります。

それは、まだ10歳未満の方の場合にはお母様をはじめとしたご家族の方が勉強についているほうが、本人としても(教え方にかかわらず)呑み込みが早いということがあるからです。

したがって、中学受験などをご検討の場合には、早くても3年生の後半くらいから家庭教師をつけ、またそれと併行してご家庭でも教えられるとよいでしょう。

その場合に「この部分はどう教えたらよいのかわからない」ということもあるかと思いますから、そういったところの指導法も伝授いたします。

家庭教師は何曜日の何時くらいがよいか

次に、より具体的に何曜日の何時くらいにつける(呼ぶ)のが一番効率が上がるのか、ということです。

一般に、最近の生徒様は学校に部活に非常に多忙でして、中には複数の塾に通われているということがあります。

ですが、学校帰り間もない時などはお疲れのことが多いですから、なるべく学校が早く終わる曜日や学校のない土日などがお勧めです。

学校がある日にどうしてもせざるを得ないという場合には、1時間程度間をあけてから家庭教師を始めるとよいでしょう。

 

また、土日ならば午前中か午後が選べます。

午前中から昼頃は、理解型・思考することを求めるような指導が向いており、

逆に夕方から夜は暗記型の学習をすると効率が上がるようです。

私共は、暗記の指導も致しますが、どちらかというと「理解」を優先しますので、夜遅く(例えば9時以降)はお勧めしかねます。

 

また、生徒様も明日があることですから、家庭教師を付けたことで日常の余裕がなくなって疲弊してしまったということがないように、注意が必要です。

 

第2章 家庭教師における”Where”

「場所」の重要性

人は思っている以上に周りの環境から影響を受けます。

勉強の場合もまさにそうで、どの場所でやるかによって「効率は上がるか」「継続はできそうか」などということが決まります。

ですから家庭教師を「どの場所」に呼んで、勉強するかということも重要なのです。

一般的には、家庭教師は勉強部屋に呼んで、家庭教師が横に座る形で勉強を見る姿を想像されるかもしれませんが、実態はだいぶ異なるものです。

 

「家庭学習」における勉強部屋

わたしの家にも「勉強机」というものがありましたが、それを利用したことはほとんどありません。

だいたい、印象に残っている勉強風景というのは居間や台所、または布団の上に寝っ転がるなどの「リラックスした」雰囲気であることが多いです。

 

そのこともあってか、家庭教師としてご家庭に伺ったときは、あまり勉強机を利用しません。

むしろ、居間のような空間でテーブルの前に座るようにして指導します。

 

また、昔何かで読んだのですが「勉強机」というものよりも、居間などの空間で大人の目の届く場所で勉強した子どものほうが成果を出しているそうです。

なぜそうなのか私なりに考えてみたのですが、それは「勉強」ということで自分をシャカリキになって攻めるというのではなくて、自分の身近に勉強というものを感じられるようになることで、日常生活と勉強の間のハードルが低くなり、より柔軟に頭を働かせられるようになるからではないでしょうか。

 

以上のことから、ご家庭で指導を依頼される場合には(できればでよいのですが)勉強机のあるところではなく、床に座って楽な姿勢でお勉強できる場所のほうをお勧めいたします。

 

学校での勉強・自習

人にもよりますが、学校は学生時代の半分以上を過ごす非常に重要な空間です。

勉強プランを成功に導きたければ、この学校をいかに活用するのかということが命運を分けるといっても過言ではありません。

少し話がクロスしますが、家庭教師サービスの中には「学校でやっていることは間違っている」「この教材を使えば○○」というようなことを謳っているところもありますが、私はそれは明らかに間違っていると思います。

学校のノウハウは確かに画一的だといわれるかもしれませんが、これまでの膨大な経験知を集約したものであり、現場では第一級の先生方が試行錯誤しながら実践しているものだからです。

ですから、家庭教師はまずは学校での状況を把握し、生徒様が学校を最大限活用できるように、予習や復習、余裕を見て発展学習などを行って、学校での吸収率を上げられるようにすべきです。

 

さて、学校でも自習をすることが可能です。

わたしは学校での自習というのは、効率的にもそして「学生らしさ」という意味でも非常に良いと思っています。

分からないところは学校の先生に聞けますし、なにより一緒に勉強する同級生がいますので一緒になって「団体戦で」受験に向かうことができます。

ですから、学校での自習、教室や図書館での自習はぜひ取り組んでほしいと思います。

 

塾か家庭教師か

塾という空間も、また家庭教師という空間もいずれも勉強するのに適している(場合が多い)というのは間違いないでしょう。

 

また、塾と家庭教師のどちらのほうが向いているのかというのは、多くの方にとって関心の高いところだと思います。

下のほうでも生徒様の自宅か教師自宅かということについて考えていますから、ここではいわゆる大手塾(多人数型)と個別指導(家庭教師、個人塾)のそれぞれの向き不向きについて考えてみます。

 

まず「個性的な人」というのは、大手塾のような多人数型を受けると個性が委縮してしまったり、やる気がなえてしまったりする可能性が高いです。

もちろん、そういう空気に「慣れる」ということは重要ですが、学習効率を上げるためには相性の良い教師とのマンツーマンが良いでしょう。

反対にいわゆる「優等生タイプ」の方は、多人数型でも個別指導型でも対応できると思います。

というよりも、そのような方は大手塾の情報集約力と、個別指導のマンツーマンの強みとを併用することができるはずですから、環境が許すなら併用してみるのも一つの手です。

例えば、普段は家庭教師でマンツーマンによる指導を受けながら、たまに大手塾などで開催される塾や公開授業に参加してみるというものです。

いずれにしても、教師のスキルであるとか相性に左右されるところが大きいです。

マンツーマンについてあれこれ言われるのは、教師のスキルが低い「学生教師」とでひと悶着あったのが原因にあるようです。

個別指導においては教師の重要性が増しますから、より慎重に選んでください。

図書館の活用

学校と自宅以外の勉強場所としては、図書館などの公共施設があります。

 

正直わたしは「図書館」の静かな雰囲気が若干苦手なので、むしろ近隣では呉中央桟橋などの環境音のあるところが好きなのですが、そのあたりは好みの問題でしょうか。

こういった場所のメリットは、学校とは反対に同級生以外の姿も見られるということです。

つまり、自分より年下もいるでしょうし、年上の大人もいるでしょう。

 

そうした「外の人間」に混ざって勉強することで、良い気分転換になると思います。

また、図書館ならば気分転換に読書ができますし、桟橋ならば公園でウォーキングをしたり、風景をぼーっと眺めることでリラックスも容易です。

家庭教師との勉強場所

最後に、家庭教師(白井)とどこで勉強するのがベストなのかということをご説明します。

正直生徒様のタイプや地理的条件にもよりますから、次のような表にまとめました。

 

学校帰りに寄りたい生徒様

教師自宅(近くにバス停や駅もあり交通の便はよいです)

家ではだらけてしまう生徒様

教師自宅(お茶などをお出しして和やかな雰囲気です)

遠方の生徒様

どちらでも可(生徒様のパフォーマンスを重視すべき)

保護者の方と緊密に連絡をとったほうがよい生徒様

生徒様自宅(ご家庭における理想的な勉強の姿をお示しします)

家にある豊富な勉強道具をうまく活用したい生徒様

生徒様自宅(勉強道具、参考書や問題集の活用法を実践的にお教えします)

 

ご家庭に家庭教師を呼ぶ場合には、生徒様が一番(和やかに)集中できる場所を選んでいただくと助かります。

わたしはそれは「居間」や「座って勉強できるところ」だと思うのですが、それ以外の場所のほうが良いという場合には、その場所にいたします。

 

前述のように、「場所のセレクト」は決してバカにしてはなりません。

最終的なパフォーマンスにも意外と影響しますから、状況を見て場所替えをしてみるのもよいでしょう。

第3章 家庭教師における”Who”

AI時代になっても「人」であり続けるもの

もはやAIは「おもちゃ」の領域を超えています。

 

一説によるとAIはMARCH(関東の主要私立大学)レベルということで、そうなるとお勉強をする意味とは何か、生徒や教師のやっていることというのはなんなのか、ということがあいまいになってきます。

しかし、わたしは「人」が「人であること」を捨てない限りは教育には意味があると思っています。

とりわけ、丸暗記とは一線を画す読解力や論理的思考力、そして表現力や発想力というのはその人本人の人生の質(QOL)を決定する非常に重要な要素だとみています。

ですから、AI時代はAI時代として、家庭教師は今後も形を変えつつ必要であり続けるものであり、またそうであるように私共も邁進してまいります。

家庭教師における三位一体の重要性

さて、ここから家庭教師を成功させるために非常に重要な3人の登場人物を挙げます。

1人は生徒様本人です。

 

1人は家庭教師です。

そしてもう1人(2人)は親御様です。

 

これを聞いて「なるほど」と思う方もいらっしゃる一方で、「えっ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

まず、家庭教師以前に親子関係はしっかりしたものである必要があり、これがないと何をしてもうまく機能せず、家庭教師を呼んでもあまり意味がなかったか、むしろ親子関係をさらに悪化させる火種になりかねません。

 

特に小学生のお子さんの場合には、「親の背中を見て育つ」ものですから親御さんが勉強に対してどのように携わっているのかという「態度」までもが生徒様のパフォーマンスに影響するといっても過言ではありません。

重要なのは「教える能力」というよりも、「教えようとする姿勢」「探求しようとする姿勢」そしてなにより「子供のことを大事に思っているということ」が伝わるかどうかにかかっています。

さて、そのうえで家庭教師と生徒様の関係に話を移します。

 

ここでも重要なのは指導能力(相性)と信頼関係(誠実さ)です。

お互いがお互いを100%信用しあうことが、勉強に専念できる第一歩であり、これを省略することはできません。

 

ですから、初回授業などで特に気を使うのは「いやなのがやってきた(親が連れてきた)」ととられるのを避けることです。

教師は生徒様のよき理解者となろうとしており、心理的・学習的な負担を軽減するということをわかってもらうことがとても重要です。

一方で生徒様も、学校での出来事やテストの情報などはできる限り明確に伝えることが教師の信頼を勝ち取るためには重要です。

 

そして、家庭教師と親御様の関係も良好であることは「マスト」です。

しばしば「ほう・れん・そう」つまり、報告・連絡・相談のことですが、これを徹底することは家庭教師を成功させるためには不可欠なことです。

 

このように生徒様、教師、親御様の3者が三位一体となって一つのゴールを目指す体制を確立できれば、おのずと結果はついてくるものです。

 

主役である生徒様の優秀なサポーターに

しばしば忘れてはならないこととしているのは「主役はあくまで生徒様」だということです。

先生方の中には、自分が答えを出してそれを自慢するような例もありますが、それは「教師が主役になってしまっている」悪い例です。

教師は生徒様の持っている潜在能力に語り掛け、それを引き出さなければなりません。

それが家庭教師に求められるアドリブ力であり、また節度と呼べるものかもしれません。

 

第4章 家庭教師における”What”

 

「参考書」「問題集」「過去問」

家庭学習(独学)において最も基盤となるのは、上記の3種類の本でしょう。

これらの本が、自分の指針となりうまく活用することで成果が得られます。

それは、家庭教師の場合でも異なりません。

確かに「勉強法」や「勉強に対する姿勢」「勉強計画」などの具体的で個別的なことは本には載っていませんが、それらでさえも実際に問題に取り組むことで見えてきますし、教えやすくもなります。

ところで「参考書」「問題集」「過去問」ってどのように活用すればよいのでしょうか。

予習か復習かによっても若干異なります。

予習の場合には、まさにその本から「教えてもらう」つもりで読みます。

必要に応じてノートを作成することは効果的であり、また「マスト」であるともいえます。

 

一方で復習の場合には、読む前に「これから読む内容に関して、自分なりに(ある程度以上の)具体的なイメージ」を持っておくと有効です。

例えば昨日は食塩水の問題を中学1年生に教えたのですが、参考書などでそれを振り返る場合には「確かこういう解き方・考え方だったな」ということを読む前に考えておき、それを踏まえて参考書なりを読んで自分の頭の中と比べてみることが有効です。

この「比較する」ということは存外重要で、実際にやってみると思っていたのと違うということは往々にしてあります。

それは「過去問」を解く場合も同様です。

 

過去問の場合には、上記の場合に加えて「時間配分」もイメージして、イメージ通りにすらすら解けるかどうかを見てみます。

それでイメージと異なる場合にはむしろ「ラッキー」だと思い、どうすればイメージ通りになるのか、足りないところや補う必要があるところはどこなのかということを考えます。

※こういう時に、家庭教師などの信頼できる他者がいると心強いです。

 

いずれにしても「受け身」の姿勢だけでは、あまり効果はないものです。

 

独学ではなく家庭教師をつけたり塾に行ったほうが効果が上がる(上がりやすい)のは、対人だと「双方向性」が出しやすいということからです。

独学の場合にはどうしても(本から人への)「一方通行」になりやすいので、うまく補う必要があります。

家庭教師もまた、独学(自習・宿題)とうまく向き合ってもらうために、勉強系の本の読み方を指導しなければなりません。

いわゆる「高額教材」に意味はない

家庭教師系の業者の中には数十万円という高額な教材を売りつけるところもあります。

実際私も1回経験して、その教材を見てみたのですが市販のものと同じかもしくはそれ以下の内容・わかりやすさでした。

ましてやそれを使って、勉強嫌いの子が目を輝かせてやる気満々になるとはとてもではありませんが思えません。

なぜこういうことが横行しているのかというのは、以下のサイトを参考にしていただくとわかります。

 

「高額教材販売会社のセールストーク・マニュアル」賢い塾の選び方

「家庭教師と高額教材の抱き合わせ販売について」家庭教師の総合情報

 

要するにそういう会社は、お客様や(場合によっては家庭教師すらも)「お金」としか考えておらず、生徒様のためになるとかそういったことは微塵も考えていないのです。

ただそういう商法に引っかかってしまうご家庭もまた「お金で(子どもの)やる気が買える」と思っているという甘さもあるのではないでしょうか。

 

私共は、そういう幻想を持っているご家庭はお断りなのですが、話が通じるのであれば目を覚ましていただきたいと思っています。

 

「スマホ」「タブレット」

最近はスマホ・タブレットといったアイテムはまさに現代人にとって必須となり、場合によっては依存を引き起こしています。

ただ、それを逆手にとってスマホ・タブレットで学習をしようという試みもあります。

実際わたしは、そういったシステムを取り入れている塾に行ったことがあるのですが、なにか「人間ではなくプログラムデータに教えられている」状況に大きな違和感を感じました。

もちろん、合う人には合うのでしょうがそういう人はもとから自習が得意な人で、媒体を選ばず「できる人」のような気がします。

※確かに英単語の意味などの暗記系では効果を発揮するのでしょうが・・

「わからないところが分からない」「頭でわかっていても説明できない」というような学習上の困難を抱えている方には、やはり人が教える必要があるのではないかと思います。

 

実際の試験もごく一部を除いて筆記ですし、また実際に文字や文章を書いてみることで考える力は鍛えられます。

ですから、私共はそういったシステムを導入することには消極的です。

勉強するのは「自分」であって参考書や問題集ではない

当たり前のことではあるのですが、何か「物」を買って自分の所有欲を満たしても、それが自分の知識なり教養なりに昇華させるためには、自分が勉強するという行動が伴っていなければなりません。

参考書や問題集はあくまでも「道具」です。

 

道具が勉強してくれるのではなく、自分がその道具を活用して勉強しなければなりません。

私共で生徒様の主体性を刺激して伸ばそうとするのはそういう考えに基づきます。

第5章 家庭教師における”Why”

勉強する理由を考える理由

なぜ、何のためにお勉強をするのかという疑問は、非常にポピュラーなものです。

ただ、その理由をあえて考えなければならないかというと結構疑問に思っています。

というのは、中学生や高校生の方でさえ「勉強」が役に立つのは5年とか10年とか先のことです。

そんな先のことをどうして想像できましょうか。

 

また、無理やり想像することで将来の可能性を狭めてしまいさえしないかと心配です。

ただ、それでも「考えたい!」という生徒様は、おそらく「やる気の根拠」を求めていらっしゃるのだと思います。

「現在の自分」のために、やる気の根拠を考えることはある程度は有効だと思いますので、以下私の考える「理由」を何点かご紹介します。

 

確かに勉強は「役に立つ」が・・

確かにお勉強は「役に立ち」ます。

 

まず1つ目は「考える力」を伸ばして視野を広げることにあります。

例えば「この問題は法律の問題になるから、このキーワードで検索すればよいな」とか「ちょっと頭を冷やして理屈立てて考えてみよう」ということが分かる(できる)ようになります。

実際、問題を発見したり解決したりする能力は社会においても常に必須でありましたし、今後もそうあり続けるでしょう。

 

2つ目は「試験や受験」で成功でき、資格や学歴を手に入れられるということです。

 

今はいろいろ言われているものの、学歴はやはり重要です。

医者や弁護士、あるいは教師など学歴がしっかりしていないとそもそも受験資格すらないというジャンルもあります。

また、それらの社会的なステータスを手に入れることで、安定した生活を手に入れる基盤とすることもできるでしょう。

 

ただ、そうった「将来」のことも大事ですが、私としては「現在の自分」つまり学校生活も大事にしてもらいたいと思います。

実際、勉強ができないと、先生から尊重されなかったり、追試になって部活が制限されるということや、両親などから突っつかれるという問題が発生します。

これら直近の問題を予防して、快適で平和な日常を手に入れるために勉強する、ともし意識するにしてもそれくらいで十分ではないでしょうか。

 

やる気と「勉強する理由」の関係?

一方で家庭教師にとって生徒様の「やる気」というのは非常に重要なテーマです。

ただこう言っては何ですが家庭教師が生徒に勉強する理由を説教するようになったらそれはもう「相当まずい状況」ではないかと思います。

 

というのは家庭教師は「勉強が楽しい」「教師と一緒に頑張るのが楽しい」という雰囲気づくりをするのが任務だからです。

それが意味をなさず「なぜ?」という疑問を呈されるということは、家庭教師にとってやっていることが機能していないかどうかを点検すべきタイミングだといえます。

それに「勉強が楽しい」という「当たり前なこと」は、口に出さないからこそ当たり前であるという側面もあります。

家庭教師に求められるのは「さりげなく」勉強することが苦にならない雰囲気づくりだと思っており、私共としても最も力を入れている部分です。

第6章 家庭教師における”How”

家庭教師とカセットレコーダーの違い

確か”Who”のところでも書きましたが、家庭教師は「人」である必然性があります。

ただ、残念ながら「それはカセットレコーダーでもよくないか?」と思われても仕方ない例が、個別指導の世界では蔓延しているように思われます。

教師が一方的に生徒様にしゃべり、生徒様がそれに頷いているというだけの状態。

簡単に言えば「教師が主役」になっている状態をこれまで様々観てきました。

しかし、それでは実りは多くないどころか、ほとんどないといっても過言ではありません。

本来の「主役」である生徒様を立て、名脇役に徹するためには家庭教師には様々なアドリブが要求されます。

そうしてはじめて、家庭教師とカセットレコーダーの違いが明確となるわけです。

具体的に私共で実践していることは「生徒様にしゃべっていただく」「説明していただく」というプロセスをたとえ時間がかかってもいいから、授業内に一定割合確保するということです。

他には、宿題の有無やその内容、やり方などについても生徒様に提案していただき、それに対してアドバイスや評価をするというやり方です。

こうすることで、生徒様は「自分が勉強している」という実感を持つことができ、そしてそうすることで「印象深い授業」をすることが可能になります。

アクティブラーニングは重要だが難しい

最近はやりの「アクティブラーニング」についても触れなければなりません。

主体的な学び、と一口に言ってもそれを実践するのは容易ではありません。

というよりも、それを実践できる生徒様のほうが少ないのではないでしょうか。

なぜなら「アクティブラーニング」を行うためには、まず教師と生徒との知的な、学問的な会話が成立している必要があるからです。

そしてその前提として、基礎的知識はもちろん、論理的な思考やそれを筋道立てて説明するスキルも求められます。

私共としては、昨今のトレンドいかんにかかわらず「アクティブ」な姿勢は重要だと考えているのは上記の通りですが、最近は次のような試みもしています。

それは「家庭学習」と「学校での学習」の連結です。

別の言葉でいうと、日常と学業の連結とでもいいましょうか。

具体的には、日常生活の中でお勉強を特に苦と思わずに実践してもらえる状態を目指し、そのために「問題集」などの宿題に加えて、小説や新書、実用書などの読書を課しています。

本で読んだことについてはそのままにせず、日ごろの学習や日常の中でもあてはまることがないかどうか、ということを問いかけ「勉強」というものが持つ閉塞感を打破しようというものです。

個別対応の可能性

家庭教師は完全マンツーマンです。

それは、生徒様の個性を最大限生かすためですが、加えて教師が生徒様目線でしっかりと対応しなければならないという「ハードル」も生み出します。

個別指導は上記のように決して「教師→生徒様」の一方通行ではありません。

教師と生徒様の双方向性を実現するためには、生徒様の個性をなるべく早期に具体的に理解することが重要です。

もちろん「性格」の問題からどうしても対応しきれないケースが出るのはやむを得ませんが、一度生徒様の可能性を信じると決めたからには、家庭教師としては全身全霊で生徒様の様々な側面に対応できるようにならなければなりません。

例えば、ある時は素晴らしくやる気になるけれども、何か悪いことがあるとひどく落ち込んでしまうという生徒様の場合には、やる気の場合にうまく指導することだけではなくて、調子が悪い時にうまくフォローし、生徒様がやる気になるまで待つ「忍耐力」も持たなければなりません。

これは口で言うのは簡単ですが、実践するのは容易ではありません。

しかし、個別対応の可能性というのはこういう地道な努力でしか生み出せないのです。

結果を出す生徒様の共通点

結果を出す人というのは、時代や場所を選ばず共通点を持っています。

それは「努力を苦としない」才能を持っていることです。

家庭教師や個別指導に当てはめて言えば「授業中はもちろん、授業外でも課題やそれを超える学習を精力的にこなしてくれる」という生徒様は例外なく大きく短期間で伸びます。

今まで伸びなかったのは、学習環境に何らかの不十分な点があったからでそれを取り除いてあげると、こちらがうれしくなるほど伸びてくれます。

また、これができる生徒様というのは家庭教師との関係だけでなく「親子関係」「家庭環境」という地盤もしっかりしています。

ですから、家庭教師として生徒様の可能性を測る場合には、本人だけではなく周囲の人々も観なければいけないのです。

一方で、授業中には頑張るけれども、授業外では(安心しているのか)勉強しないという方は、伸びはするけれども緩やかな伸びとなります。

やはり勉強は「質」も大事だけれども「量」も決しておろそかにしてはならないということです。

結びに代えて~家庭教師の意義と限界~

正直内容は生徒様やご家庭に対するPRというだけではなく、家庭教師としてうまくやっていくノウハウやらヴィジョンの話にも波及し、収拾がつかない箇所もあったかと思います。

正直に申し上げて「家庭教師」はあくまで、生徒様のサポーターなのです。

生徒様が頑張っていただければそれは生徒様の手柄であり、逆にそうではない場合には家庭教師自身の不手際を恥じなければなりません。

そして、この連載を参考にご家庭や生徒様には「真実を見極める目」を持っていただきたいと思います。

 

それは、本当に自分のためになる人を見つけ、出会うことができる才能であるのと同時に、自分の希望や願望だけではなく様々な当事者の目線から、共感の気持ちをもって平等に物事を見つめられる目でもあります。

 

私共は、最終的には試験の点数や受験の合格を超えて、こうした「優しい人間」を育てることを目的としていることを付け加えて、結びの言葉に代えたいと思います。