「もし」が重なって合格になる ― 広島大学情報科学部合格までの1年間
広島市内の中高一貫校に通う高校3年生の生徒さんが、1年間の受験勉強を経て、広島大学 情報科学部(A型)に合格されました。
数学に苦手意識があり、共通テスト模試では4割前後からのスタート。さらに、日本史を新しく学ぶ必要もありました。そうした状況のなかで、学習計画の設計、毎週の進捗管理、理解の補助、家庭学習の環境づくりを積み重ね、少しずつ合格に近づいていった1年間でした。
今回の合格校
- 第1志望:広島大学 情報科学部(A型)
- 第2志望:関西大学 総合情報学部
- 第3志望:近畿大学 情報学部
1.合格までのスタート地点
この生徒さんがいらっしゃったのは、高校3年生の春ごろでした。広島市内の中高一貫校に通われており、理系の進路を志望されていましたが、受験勉強全体を見渡したときに、いくつかはっきりした課題がありました。
第一に、数学に対する苦手意識がありました。共通テスト模試では4割前後で、知識がまったくないわけではないものの、問題を前にすると手が止まりやすい状態でした。
特に、何を手がかりに考え始めればよいのかが曖昧なままになりやすく、解ける問題と解けない問題の差が大きい印象でした。
第二に、受験全体の設計が必要でした。大学受験では、「何をどの順番で、いつまでに、どの程度の完成度まで持っていくか」が非常に重要です。よい教材を知っているだけでは足りず、それを生徒本人の現状に合わせて並べ直し、実際に回るスケジュールに落とし込まなければなりません。
特に国公立大志望の場合は、共通テストと二次試験のバランス、苦手科目への配分、直前期の切り替えなど、判断すべきことが多くなります。
第三に、日本史を新しく学ぶ必要があったことです。理系の生徒さんであっても、受験方式や科目の組み合わせによっては、新たな教科を一定水準まで仕上げなければならないことがあります。
数学の立て直しをしながら、日本史のインプットとアウトプットも進める必要がある。この時点で、単に「頑張りましょう」という話ではなく、かなり戦略的な設計が必要な状況でした。
ただ、この生徒さんには大きな強みもありました。指示されたことをただ受け身でこなすというより、納得しながら進めたいタイプであり、環境が整えば着実に伸びていく素地がありました。
つまり、最初から完成していたわけではありませんが、適切な順序と適切な支えがあれば、十分に上を目指せる生徒さんだったのです。
2.家庭教師の白井で行ったサポート
この1年間で行ったサポートは、大きく分けると四つあります。
① 年間学習計画の設計
まず最初に行ったのは、年間の学習計画を組み立てることでした。使用する参考書・問題集、取り組む順番、どの時期に何を仕上げるかを整理し、「今の実力から志望校合格までの道筋」を見える形にしました。
大学受験では、目の前の一冊だけを見ていても、全体が噛み合わなければ成果につながりにくくなります。基礎を固める時期、演習を厚くする時期、共通テストを意識する時期、二次対策へ寄せる時期を分けながら、無理のある計画ではなく、実行可能な計画を重視しました。
② 毎週の学習内容の設定と進捗管理
計画は立てただけでは意味がありません。大切なのは、それを毎週の行動に落とし込むことです。そのため、授業では「今週は何をどこまでやるか」を具体的に設定し、次回までの進み具合を確認しながら調整していきました。
受験生にとって、家庭学習で一番つらいのは「何をすればいいかわからない時間」です。やる気がないというより、やるべきことが曖昧で手が止まっているケースは少なくありません。
そこで、参考書の範囲、解く問題、優先順位、復習のポイントまで明確にし、家庭で迷いすぎない状態をつくることを意識しました。
③ 学習環境の調整
最近の受験勉強では、動画授業や生成AIといった補助ツールをどう使うかも重要です。この生徒さんには、単に「便利そうだから使う」のではなく、理解を深めるためにどう使えばよいかまで含めて調整を行いました。
たとえば、授業で扱った内容を家庭で復習するときに、動画授業で補強したり、生成AIを使って解説をさらにかみ砕いたりする方法を取り入れました。
特に、解答解説をそのまま読んでも分かりにくい場面では、生成AIにどう質問すれば自分に合った説明が返ってくるか、プロンプトの書き方も含めて指導しました。これにより、家庭学習中に詰まりやすいポイントを減らすことができました。
④ やる気の維持管理
受験は長期戦です。どれほど良い計画があっても、気持ちが切れてしまえば前に進みにくくなります。そこで、必要に応じてLINEメッセージなども活用しながら、勉強への気持ちをつなぐ工夫も行いました。
受験生に必要なのは、精神論だけではありません。しかし同時に、人は機械ではないので、気持ちの波を無視して学習は続きません。
少し前向きになれる言葉、今やっていることに意味を感じられる整理、焦りすぎないための見通し。そうしたものも、受験指導の一部だと私は考えています。
3.数学4割前後からの立て直し
今回の合格体験記で、特に大きかったのは数学の立て直しです。もともと数学に対して「分からなくなると一気に止まってしまう」感覚があり、模試でも安定しませんでした。
そこで重視したのは、単に解法を覚えることではなく、再現性のある思考法を身につけることでした。
具体的には、分野ごとに「どこを見て、何を考えるか」を整理していきました。単元ごとに着眼点を細かく明確化し、「このタイプの問題では何を手がかりにするのか」を繰り返し確認しました。そうすることで、問題を見た瞬間に真っ白になる場面を減らしていきました。
また、家庭学習でも手が止まりにくいよう、解く問題の選定にも気を配りました。難しすぎる問題ばかりを与えると、自信を失い、復習も雑になります。逆に、簡単すぎる問題ばかりでも実戦力は伸びません。
その中間を丁寧に埋める教材選びと順序づけが、かなり重要でした。
さらに、広島大学の数学の記述については、①解法理解、②時間内での答案作成をあえて分けて指導しました。これは非常に大切な点です。受験生はしばしば、「分かったつもり」と「書ける」が混ざってしまいます。
解説を見れば理解できることと、試験本番で制限時間内に答案としてまとめられることは、別の力だからです。
そこでまずは、解法の意味をきちんと理解することに集中し、その後で、本番を意識した答案作成へ移りました。何を書くべきか、どこまで書けば十分か、どういう順序でまとめるかを意識しながら練習することで、記述に対する見通しも徐々に立っていきました。
数学が苦手な生徒さんほど、「考え方」と「運用」の間に橋をかける必要があります。今回の生徒さんも、まさにそこを丁寧につないだことで、苦手意識が少しずつ薄れ、得点の土台ができていったのだと思います。
4.日本史を新しく学ぶという課題
数学の立て直しと並行して、日本史も進める必要がありました。もともと理系の生徒さんであり、新規に学び始める科目は、どうしても負担感が強くなります。
そこで意識したのは、インプットからアウトプットへの流れをシンプルに保つことでした。
参考書で用語や流れをつかみ、問題集で確認し、弱い範囲に戻る。このサイクルを必要以上に複雑にせず、何を覚える時期で、何を確認する時期なのかを明確にしました。
受験生は不安になると、教材を増やしすぎたり、勉強法を次々変えたりしがちです。しかし、新しく学ぶ科目ほど、やることを絞ったほうが伸びやすい場合があります。
また、日本史だけに偏りすぎて数学や他科目が崩れないよう、全体の学習量のバランスも見ながら進めました。受験勉強では、一つの科目を伸ばそうとして全体を壊してしまうと、かえって苦しくなります。だからこそ、「今この時期はどこまで求めるか」を科目ごとに調整することが必要でした。
5.週2回・週3回の通塾で何をしていたか
通塾ペースは、直前期以外は週2回、直前期は週3回でした。このペースのなかで、単に授業をこなすのではなく、塾と家庭学習がつながるように設計していました。
授業では、前回の課題の確認、理解が不十分な箇所の補足、次回までの課題設定、受験全体の進み具合の確認を行いました。質問対応も重要でしたが、それ以上に、「何が分かっていて、何がまだ曖昧か」を一緒に見える化していく作業が大きかったと思います。
受験生は、努力していても、自分の現状を正確につかむのが難しいものです。できていないことばかり気になって焦ることもあれば、逆に、まだ足りないところを見落としてしまうこともあります。
そこで、伴走者が外から整理し、「今の課題はこれ」「今週やるべきことはこれ」と示すことには大きな意味があります。
この生徒さんの場合も、一回の授業で劇的に何かが変わったというより、毎週の確認と調整が積み重なり、気づけばスタート時とはかなり違う位置まで来ていた、という1年でした。
6.「もし」が重なって合格になる
合格の連絡をいただいた日、私が強く感じたのは、「受験にはいくつもの『もし』がある」ということでした。
もし、あと1か月いらっしゃるのが遅かったら。もし、あの時期に参考書の選定を誤っていたら。もし、家庭学習で手が止まる時間がもっと長かったら。もし、広島大学の記述対策を、ただ漫然と過去問を解くだけで終えていたら。
受験には、そうした小さな分岐がいくつもあります。
一つ一つは偶然のように見えるかもしれません。しかし、受験が終わって振り返ると、それらはばらばらではなく、どこかでつながっています。適切な時期に、適切な教材を選び、適切な負荷で学び、必要なときに軌道修正する。その積み重ねが、最終的に「合格」という一つの結果として表れます。
今回の広島大学合格も、まさにそうした1年間だったと思います。もともとの素質だけで決まったわけではない。偶然だけで決まったわけでもない。小さな判断と、小さな積み重ねの連続が、結果として結実した。その意味で、とても印象深い合格でした。
そして私は、こういう結果を見るたびに、人が一年でどれだけ伸びるかに驚かされます。もちろん、最初から何もかも順風満帆ではありません。迷いや不安もありますし、思うように進まない時期もあります。
それでも、環境が整い、やるべきことが定まり、本人が一歩ずつ進んでいけば、人は本当に変わっていきます。今回の合格は、そのことを改めて強く感じさせてくれるものでした。
7.呉市で大学受験の伴走型指導をお探しの方へ
家庭教師の白井では、単に問題の解き方を教えるだけではなく、受験全体をどう進めるかを一緒に設計することを大切にしています。
「何をやればいいか分からない」「参考書はあるが回らない」「苦手科目で手が止まる」「家庭学習の管理まで含めて相談したい」といった方には、特に相性のよい指導だと思います。
大学受験は、本人の努力が前提であることは間違いありませんが、努力をきちんと結果につながる形に整えることも、同じくらい大切です。
今回のように、数学に苦手意識があっても、科目のバランスに課題があっても、受験の設計と日々の学習が噛み合えば、大きく前進できることがあります。受験生ご本人はもちろん、保護者の方にとっても、先の見通しが立つことは大きな安心につながります。
広島大学情報科学部合格、本当におめでとうございます。
大学合格は、もちろん大きな到達点です。ただ、それは同時に、新しい学びの始まりでもあります。この1年間で身につけた、計画を立てて進める力、分からないことを整理して前に進む力、必要なときに立ち止まってやり方を修正する力は、大学に入ってからも必ず生きてくるはずです。
そして、この合格体験記が、いま受験に向かっている誰かにとって、「まだ伸びられる」「整え方次第で道は開ける」と感じられるものになれば、私としてもうれしく思います。