道具は使いよう
はじめに
今回は、やや一般的な話になります。
しかし、この話は呉市の家庭教師の白井の考えをご理解いただくうえでは、結構有用だと思われます。
なぜならば、教師が個別具体的にどのような授業をしているのか、ということに加えて、そういう1つ1つの事柄に共通する基本的な考え方をご紹介することで、呉市の家庭教師の白井がどのような塾・家庭教師なのか、というイメージを掴みやすくなると思うからです。
今回は、「道具」についての記事です。
塾や家庭教師にとっての道具とは、主に教材(参考書や問題集など)を指しますが、ほかにもあるかもしれません。
この記事では、特定の教科において、どのような教材がお勧めなのか、ということについては触れませんが、どのような教科、どのような教材であっても、それらをどう使っていけばいいのか、というヒントについては私なりの考え方を述べます。
「道具」に過度に期待しすぎないこと
まず、確認しておきたいのは、「道具」はうまく使いこなしてこそ、その期待された効果を発揮するのであって、大なり小なり使い手のスキル(能力)の影響を受ける、ということです。
例を挙げますと、落語における噺家の手ぬぐいと扇子を考えてみてください。
彼(彼女)は、単なる手ぬぐいと扇子によって、あらゆるものを表現します。
なぜそのような芸当ができるのかといえば、それは噺家が手ぬぐいと扇子という道具について熟知し、それらをどう使えば、何を表現できるのか、ということを考え抜いているからです。
一方で、手ぬぐいと扇子には、特別な仕掛けや機能というものは、特にありませんから、普通の人がそれらを使って、万物を表現しようとしても、なかなか難しいでしょう。
また、塾や家庭教師の話とは離れますが、別の例も挙げます。
定規が一本と、鉛筆と紙があるとします。
普通の人は、これらを使って、直線を何本か引くことができるだけです。
円を描きたいと思うのであれば、コンパスがないとできない、と考えるでしょう。
しかし、昔、あるテレビ番組でデザイン系の学生の所作をみて驚いたのですが、彼(彼女)は、定規を使って、まさにコンパスで描いたかのような、ほぼ完ぺきな円を描いていました。
このように、道具の限界を決めるのは、道具そのものではなくて、使う人自身だということがよくわかります。
以上の2つの例を挙げたのは、道具についてよく理解しようとせずに、道具の性能が足りないと不平不満を言う前に、まずは手持ちのものについて本当はどのような可能性があり、自分自身のスキルを磨くことで、どのようなことができるようになるだろうか、を考えるべきではないか、と言いたかったからです。
「これさえあれば成功する」というものはない
よくYouTubeなどの動画やブログなどで、受験勉強などに成功した人々が、使用していた教材を挙げて、場合によっては、それらを宣伝しているのを目にします。
私は、それについて悪いとか、文句を言いたいわけではありません。
私自身、教材についてレビューしているコンテンツは、ほぼ毎日見ていますし、大いに参考にしています。
しかし一方で、思うところもあり、それは「教材は買っただけでは意味がない」ということです。
当たり前ですが、教材は、食べ物を口に入れれば、あとは消化器官が勝手に吸収してくれることと違って、徹頭徹尾、自分の意思でもって、学ぼうとしなければ得られるものも得ることができないものです。
そのため、どのような教材であっても、「やりこむこと」が重要です。
また、やや別の角度からの話になりますが、教材のレベルやつくりによって、向いている人の人物像はだいぶ変わってきます。
ある人には最適だった教材が、別の人には思ったような効果が生じなかったというのは、よくあることです。
そのため、結論としては、自分への向き不向きも考えたうえで、教材という道具を選び、選んだものを一生懸命やってみる、ということが成功への道だということになります。
総括:教師ができること
以上、私の考える「道具」または「教材」についての、基本的な考え方を述べてきました。
道具についてよく理解し、使いこなせるかどうかによって、その道具が自分にとって、プラスになったり、効果がなかったり、場合によっては逆効果になったり、ということが起こるわけです。
塾・家庭教師にとっての、一番身近な道具は教材ですが、教師は教材についてその効用や対象としている人物像などについて、研究・熟知し、そのことを活かして、生徒さんに「どの教材をどのように進めるのか」という提案をし、さらに実際の過程をよく観察したうえで、適宜修正を入れていくことが必要です。
呉市の家庭教師の白井としては、「教材が主で、教師が従となってしまっている、いわば教材に使われている教師」ではなくて、「教材の可能性を限界まで引き出せる教師」でありたいと思っています。
そのために、これからも地に足のついた授業をしていこうと思います。